Op.38 セフィロトとクリフォト

「シスター・セフィラ」

 管制室に入ったクリファは声を張った。すると、ケテルを通した指示しか受けつけないはずのセフィラが、管制室の中央に自身のホログラムを投影させる。

『シスター・クリファと認識します。相違ありませんか?』

「相違ない」

「クリファ……君は一体?」

 クリファとセフィラの会話に、ミコトが口を挿んだ。

「クリファは、クリフォトシステムの生体ヒューマンマシンインターフェース」

「えっと……セフィラと同じ、ということ?」

『少しばかり異なります。クリフォトシステムは、セフィロトシステムと比較して自律性の高いシステムです。そのため、クリファ自身も、ヒューマンマシンインターフェースという機能を実現させながら、権限の集約が図られています』

「つまり……?」

『私とケテルを、人の形をした生体ユニットに内包したもの――そうイメージしていただければ、理解し易いかと思われます』

「なるほど……ちなみに、セフィロトシステムと、そのクリフォトシステムというのは、君たち以外にも異なる部分があるの?」

『申し訳ありません。クリファに対して、セフィロトシステムの核心的な情報を提供することは禁止されています。よって、この場で双方の差異について、これ以上の言及はできません』

「代わりに、クリファが知っていることを教える。クリフォトシステムは、ディアボロスを軸とした自律型真社会性戦略兵器。ディアボロスは、量子通信とリモートセンシングを担う衛星と、EMP攻撃能力を備えた鋼殻兵クルーガーと呼ばれる近接戦闘ユニットを生産し、強大な軍団を形成することができる」

 クリファは、セフィラを見やる。

「セフィロトシステムは、クリフォトシステムの安全装置。完全稼動状態のクリフォトシステムを物理的に停止させることができる」

 続いて、クリファはミコトに向き直る。

「クリフォトシステムに比肩するものを存在させてはならない。ライドが教えてくれた。だから、クリファは――セフィロトシステムを破壊する」

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