第34話 新魔法



犬の獣族の街から西へ進んで 今日で6日目


そろそろ 猫の獣族の領域に入るかな


……


後ろを振り向くと 誰かが追いかけ来ている


めんどくさいなぁ せっかく順調に進んでいるのに


「ちゃちゃ 敵が来たみたいだから 2人を守ってね 俺が戦うから 先に3人で西に走って」


ちゃちゃはコクりと頷いた


俺は2人を降ろし ちゃちゃについて行くように命令した

ちゃちゃは2人と手を繋ぎ西へ走って進んで行く


さて 何人来たのかな

それにしても よく追いつけたよな

そもそも 俺達の居場所がどうして

そういえば この前の獣人達も……


来る


俺は朱殷の杖を構える


えっ 1人


なっ


俺は後ろへと飛んで下がる


あれっ 何もないか 今のは


獣人の男が走りながら剣を抜いた


「爆炎」


俺が炎を放つと男は左にかわす

なかなかの動きだね 


「爆炎」


からの


「氷刃」


再び 幻影の炎を放ち かわした所に 尖った氷を投げつけた

しかし男は氷を剣で弾き こちらに走って向かってくる


わぁっ


俺はまた後ろに飛んで下がった


今のは……殺気なのか う~ん よく分からないけど 危険な感じがしたんだよなぁ なら これで


「炎王」


大きな炎の幻影を放つ


かわした所に~


しかし男は炎を避けずに 炎の中を進んで向かってくる そして剣で


俺はすかさず 巨大盾を出し 進路を塞ぎ 石を投げつけた


石は命中 しかし男は気にせずに向かってくる


強いのか……獣族なのでレベルが分からない


危険なのか 危険をおかしてまで戦いたくないが……


男が目の前まで迫る


引き付けてからの 巨大盾


そして 巨大盾をキック


俺は巨大盾ごと本気で蹴り飛ばした


よし


男が吹き飛んだので 石の連打だ


「連石弾」


俺は石の魔法を1秒間で1発放てるのだよ もう逃げられないぞ


しかし男は剣で弾き始めた


もちろん 何発も当たっているんだが……


危険な感じが……


危険な勝負なんてゴメンだね


男は巨大盾を持ち上げ収納 石を投げながら もう1枚の巨大盾に近づき 急いで持ち上げ収納


「炎壁」


俺は幻影でこちらを見えなくして 


じゃあね


全力で走って西へ


足なら俺の方が速い しかし 逃げても ちゃちゃ達がいるので追いつかれるだろう


でも


よし あの杭は猫と犬の獣族の境だ


どうする 追ってくるか


男は躊躇わずに追ってきた


よし


予定通り 


ここなら すぐには


あそこがいいかな


俺は立ち止まり 迎え撃つ


俺の幻影は既にばれているが


しかし これならどうだ


来た


「炎炎炎」


炎を連続で放つ


男は避けずに向かってくる


よし


俺は幻影の炎に紛れて 砂を投げつけた


一瞬 男の動きが乱れたが止まらない


くらえ 新魔法


「捕縛」


ドンとぶつかる音が


中から ドンドンと叩く音が


よし


成功だね


俺は男を魔法で閉じ込めることに成功した


更にプレゼントしてやろう


これでどうだ 


俺はジャンプして次々に落とす


叫び声とドンドンと叩く音が……


じゃあね もう来ないでね




俺はちゃちゃ達に追いつき 南へ進路を変えた

追い付かれないように2人を抱えて全力で走る



猫の獣族の領域なら仲間がすぐに助けに来れないだろう

俺の新魔法「捕縛」

師匠から貰った 仲間を守るための結界魔法だ

鉄で出来た直径4メートルのドーム

外からは持ちやすくなっているが 中には持つ所がない

穴を掘るか 外から仲間達が持ち上げるか

とにかく出るのに苦労するだろう

更に鉄のドームは大量の岩で埋めた

俺でも持ち上げることが出来ないよ


あの獣人は強い

俺が本気になれば勝てるかも知れないが

負けるかも知れない

命のやりとりをするような戦いはしない

逃げるが勝ちだよね

鉄のドームを回収出来ないのは痛いけど

命に比べたら安いものだ

まだ5つあるし 

また師匠にねだればいい

ぼったくられるだろうが……


それにしても 

なぜ 俺達の場所が……

密かにつけている忍者でもいるのか

とにかくアイツとは戦いたくない

逃げる


「ちゃちゃ きついかも知れないけど なるべく速く南に向かうからね」


ちゃちゃはコクりと頷いた


少しでも遠くに 1秒でも速く




しかし



俺達は思わぬことで時間を取られることになる




「ちゃちゃ 街に着くまでは」



そんな目で


そんな可愛い顔で見つめられると


でも ここは


我慢だ


ちゃちゃは俺にキスを


我慢


我慢


なんて


俺には無理だった

……








黒髪の女の子と目が合う


顔が赤らめている


覗いていたのか


う~ん


仲良くしなければ


俺は抱き寄せた


しかし抵抗しない


黙って俺を見つめている


可愛い


俺がキスをすると嬉しそうな顔に


神様から上げてもらった魅力値効果かな


もう1度


可愛い


もう1度だけ


大丈夫そうだな 


お互いのことを理解しよう

……









あれっ キミも

……

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