第30話 ちゃちゃと2人だけ



なぜか 寝るのが遅くなってしまったな


俺が目を覚ましたのは昼前だった


完全に寝坊だね 大事な獣族狩りの日なのに

でも 仕方ないよね 2人とも可愛いから

今を楽しまないと 後のことは後で考えるっと


俺は起き上がりベットを収納してテーブルとイスを戻し4人で昼食を食べた


「じゃあ 行ってくるね」


クレスとキスをして そしてイネスとキスをした



2人と別れて俺達は街を後にした

さて 完全に寝坊したし どうしようかな

もちろん 獣族狩りの集団は朝一で街を出発している


よし


「ちゃちゃ 稽古も兼ねて走って進むよ でも無理はダメだからね」


ちゃちゃはコクりと頷いた

獣族狩りの集団は犬の獣族の街まで歩いて15日

装備を着けて森を歩くので速度は4キロ程度の計算だろう

俺達のコースを歩いて進めば犬の獣族の街まで25日

俺とちゃちゃは手ぶらで普通の軽い服 8キロの速度で走って進めば ギリギリ俺達の方が早く着くだろう

俺とちゃちゃなら 12キロの速度で走っても そんなに疲れないだろうから 余裕かな

後は途中の戦闘でどれだけ時間が掛かるのかだな



俺とちゃちゃは猫の獣族と犬の獣族の領域の境を走って進んでいる

猫と犬の獣族の領域の境は杭が所々にあるだけで見張りなどいない

猫の獣族と犬の獣族が争ってるということはないので必要ないのだろう

ちゃちゃが教えてくれた通り安全なルートのようだ

時折 西側に猫の獣族を見かけるが 気づかれることもなく順調に進んでいる


ちゃちゃなら このペースでまったく問題ないだろうけど 念には念だよね

俺は2時間置きにちゃちゃをおぶって進むことにした 2人で走っている時は12キロくらいの速度で 俺がちゃちゃをおぶって進む時は15キロくらいの速度で進んで行く

魔物はいるが 全て無視だ

向かって来たら 俺がちゃちゃをおぶって全力で逃げる


夜はちゃちゃを抱きしめて寝る さすがにテントやベットは不味いだろう

ちゃちゃは可愛い 

いや ここは危険な場所なんだ 我慢だ

それに俺もちゃちゃも眠っておかないと

ちゃちゃは俺を見つめ そして微笑み キスをしてきた

俺に我慢なんて出来なかったよ

……





順調に進み 7日目

パタトの羅針盤で確かめるとパタトの街まで15日の距離になっていた

だいたい予定通りだな ちゃちゃも疲れた様子はないし むしろ元気だよな


ここからは犬の獣族の領域に入り東に真っ直ぐに進んで街を探す

ちゃちゃのおかげで ここまでは安全だった 

これからが本番だな


俺達は猫と犬の獣族の境の杭を越えて 犬の獣族の領域に入った

しかし 今までと変わらない 

それどころか 犬の獣族の見張りが1人もいない

まあ 魔物はいるが 拍子抜けだな

魔物がいたら これまで通り俺がちゃちゃをおぶってダッシュだ 俺の速度について来られる者などいないのだ 暇なので ちゃちゃを降ろさずにどんどん進んだ

しかし いつ犬の獣族に遭遇するのか分からない 街にも近づけば さすがに見張りも多くなるだろう

とにかく 危険なんだ 今日からは……

そう そうだよ 俺には無理なんだよ

ちゃちゃはニッコリと微笑んだ

……





4日間 犬の獣族の領域を走って進んだ

しかし未だに犬の獣族を1人も見掛けていない

こちらのルートは完全に手薄のようだ

猫の獣族が攻めてくることがないのだろう


順調に進んだので 獣族狩りの集団より1~2日くらいは先行しているだろう

明日からは歩いて進んでも問題ないよな

いつ戦闘になるのか分からない ちゃちゃの体力はなるべく温存するべきだよね

それにある程度 獣族狩りの集団が街に近付いた方が混乱して隙が出来るかも

その隙に俺達が忍び込むのが理想だよな

獣族狩りの集団が街まで来たり 街に籠城されたりしたら最悪 先行している1~2日で全てを終わらせる必要があるかな う~ん まあ 行って見ないと街があるのかも 分からないか


「ちゃちゃ 明日からは歩いて進むからね それから疲れた時は早めに合図してね」


ちゃちゃはコクりと頷き 抱きついてきた

仲間が増えると2人だけの旅も終わりか


「ちゃちゃ もうすぐ仲間が出来るかもね」


ちゃちゃはコクりと頷き キスをしてきた

2人だけの旅

楽しまないとね

……

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