ブギーポップは笑わない/期間限定土曜・日曜更新!

作者 上遠野浩平/電撃文庫

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★★★ Excellent!!!

 何度こころを救われたかわからない。
 第一作の笑わないだけではなく、その後のシリーズ作品、イマジネーターにも、パンドラにも、歪曲王にも、夜明けにも、ペパーミントにも、どれだけ助けられて、何度ページをめくったかわからない。
 パンドラなどは、いまでも毎日のようにページを開いて、あの六人のいるカラオケに赴いてしまう。“まるでその言葉が黄金ででもあるかのように”、友達、という語を口にする人物が、パンドラには出てくる。この本も、この本の登場人物たちも、古い友達のように私を支え続けてくれている。それは本当に、黄金と呼ぶに値することだと思う。
 “君たちは、泣いている人を見ても何とも思わないのかね!”
 何とも思わないわけじゃない、と抗弁する人は、この本を読むのに向いていると思う。まさにいま、こころが泣いているという人も。

★★★ Excellent!!!

勢いで書いた文章じゃない。一字一句全て計算しつくされている――。

発売当時に購入して読んだときは、ただ難しい小説だなくらいしか思ってませんでした。
いざ書き手としてプロを目指したときにこれを読むと、ピラミッドの頂点から世界を見据えたような感覚を覚えます。
今ならラノベよりも文芸に近いジャンルになるのでしょうけれど、
この小説が『自動的に湧いて出てきた』ことの意味を考えてみたいと思います。

★★★ Excellent!!!

1998年出版。もう二十年前!
ライトノベルという枠組みが、おおむね「剣と魔法のアニメファンタジー」ものから「不思議青春ファンタジー」に舵を切った瞬間の作品です。
同時代人ではないですが、最初に読む作品がブギーポップか否かで、ライトノベルへ抵抗があるかないかが別れる、それくらい「不思議」な作品でした。
ジェブナイルとして出すには、ヒーローものという言い方が子供っぽすぎた。
一般文芸を気取れば、白眼視されたでしょう。
児童書として売るには、明快さがない。
子供っぽい青春と、大人びたニヒルさと、子供っぽい発想と、大人びた構成。
本屋の棚の、どこに置いていいのかわからない、けれど確かに中高生が絶対に抱えているやりきれなさを定義するには、ライトノベルというジャンルしかなかった。
だからこそこの作品はライトノベルとなって、以後「想像力に制約がない」というそのジャンルの方向性を決定づけられたといえます。

二十年も経ちますから、ブギーポップの子供みたいなクリエイターがたくさん排出されて、今も第一線で活躍しています。
ライトノベルというジャンルではもう古典に位置する作品ですが、アニメ化などを通して、ここから再び、未来のクリエイターに影響を与えていくのでしょう。

古き良き、しかし今再び新しい、ライトノベルというジャンルの想像力を読んでみましょう。

★★★ Excellent!!!

君はぼくのことを知っているかい? この、奇妙な噂を聞いたことがあるのかい?

それは、ひとがもっとも美しく輝いたときに殺しに来るっていう死神の噂のことさ。
その噂に魅きつけられるかのように――、数々の事件が巻き起こる。最終的には世界そのものがどうこうってなっちまうんだけれど、ね。

その始まりが、この『ブギーポップは笑わない』さ。

90年代の終わり、ぼくたちはこの物語に熱狂した。
オムニバス形式で巧みな筆致で描かれるこの物語がなければ、あるいはラノベの歴史は多少なりとも変わっていたかもしれないね。
さあ、それじゃあこれ以上語るのはよそう。まずは、この時代感を存分に味わってくれたまえ。

聴こえて来るだろう、どこからか。ほら、口笛が、さ。
それ、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』っていうんだぜ?