第65話 記憶


 そこから三つほどの景色を経て、俺としずく隕石魔人いんせきまじんおそわれていた。


「――お前、喋れるのか?」


「ああ、喋れるとも! 息もできるし、回転もできるし、全てを壊す力がある! しかも、この世界にはきらりん☆すら存在しないときたっ!」


 頭がえてきて、思考がまとまってくる。


 今までに起こってきた不思議な出来事には、全て魔術が関わっていた。


 そう考えるなら、この景色も何かの魔術によって作り出されているのだろうか?


 冷静になった頭で、この景色にはふたつの法則があることにも気付いた。


 ひとつめは、その景色が、現在から過去にさかのぼっている事。


 ふたつめは、その景色に、いつでもしずくが存在している事。


 この世界が俺の走馬燈そうまとうだとするのなら、俺がいない場面があるのは不自然だし、雫しか知らないはずの場面があるのも辻褄つじつまが合わない。


 つまり、この景色は――雫の記憶なのだと思う。


 また世界が暗転する。

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