第49話 答え


 ゆらりん♪が、かかげた右手を俺に向かって振り下ろした。


 それに合わせ、漆黒しっこくの巨大な球体が、緩慢かんまんな動作で俺に向かって降ってくる。


『マスター、回避してください』


「……駄目だ」


『なぜです?』


 俺は背後に視線を向ける。


 俺の後方には、意識を失った3人の不良がいた。


「くっくっく。奴らには命がけで守る価値はない。早くそこから逃げ出すが良いのだ♪」


「……それは違うぜ」


 ゆらりん♪の笑みが、俺の言葉を受けて怪訝けげんそうなモノに変わる。


「命なんてモンは、ここに来た時点でけてんだ。それにな! 俺が最初から助けたかったのは、瀧本たきもとと――ゆらりん♪ お前なんだよっ!! ここで退いちまったら、お前を助けられねぇ。瀧本にもそうだが、ゆらりん♪にだって、俺は罪を背負って欲しくなんかねぇんだっ!!」


『了解です』


 STARスター LIGHTライトがシールモード――巨大な剣のへと姿を変える。


「わかってんじゃねぇか!」


『準備完了です』


「……付き合わせちまって悪いな」


『いえ、それでこそマスターです』


 俺はSTARスター LIGHTライトを頭上に掲げ、一思いに振り下ろす。


STARスター LIGHTライトォオオッ! IMPACTインパクトォオオオオオオオオオオッッッ!!」


 光の一閃いっせんほとばしる。


 俺の目の前に生まれた光の柱が、DEATHデス STARスターとらえる。


 しかし、


「貴様がどれほど強い意思を持っていようが、DEATHデス STARスターは貴様の魔力を吸収し膨張ぼうちょうする! 真っ向勝負で破壊するなど不可能なのだ!」


 ゆらりん♪の言う通りだった。


 DEATHデス STARスターは光の一閃を吸収し、さらに大きさを増していく。


 でも、そんなことは関係なかった。


「俺は諦めねぇ!!」


 STARスター LIGHTライトを握る指に力がこもる。


 俺の気概きがいに呼応し、STARスター LIGHTライトから迸る光が輝きを増す。


「……なぜだ? なぜ、諦めないのだ? なぜ、そんなにも簡単に命をけられる?」


 ゆらりん♪の狼狽うろたえる声に、俺は虚勢きょせいを張った。


「簡単に命を懸けられる奴なんかいる訳ねぇだろ! ゆらりん♪は一期には登場してないから、知らないかも知れないけどな! こういう時、きらりん☆は絶対に諦めないんだよ!!」


 嘘でもなんでもいい。


 できる限り、やってやる。


「それなら、俺だって諦める訳にはいかねぇんだっ!!」


 迸る光が、さらに激しさを増す。


 そんな光を受け、DEATHデス STARスターの動きが少しだけにぶくなった。


馬鹿ばかな!? DEATHデス STARスターの速度が落ちている!? DEATHデス STARスターが魔力を飲み込む速度を、貴様の魔力が上回っているというのか? そうか……破壊するのではなく、強大な魔力で軌道きどうを変える気か!? だが不可能だ! この世界は作られた世界とは違い、ご都合主義なぞ存在しない現実だ! 約束された勝利など、ありはしないのだ!!」


 DEATHデス STARスターはさらに膨らみ続け、俺を飲み込もうと迫ってくる。


「気持ちだけじゃ、足りないっていうのかよ!」


 でも、諦めるな。


 何か方法があるはずだ。


「これが現実だって言うなら、そんな現実クソくらえだっ!!」


 だってよ?


 きらりん☆は絶対に諦めないし、絶対に負けない。


 きらりん☆のその雄姿ゆうしは、本物だったのだから。


「ゆらりん♪っ!! お前は俺を倒したいだけだろ!? なら、後でいくらでも戦ってやる!! 俺は瀧本たきもととゆらりん♪を助けたいだけだあぁああっ!!  力を貸しやがれ!! お前も手伝えぇえええええええええええええええ!!」


「わ、私に手伝えだと!? むちゃくちゃだっ!」


「無茶を言ってるのは百も承知だっ! でも、俺は諦められねぇ! 俺は、お前をぉおおおお悪者にはさせねぇええええっ!!」


 俺の言葉を聞いたゆらりん♪は、あきれたのだろうか。


「くっくっくっくっく」


 笑っていた。


「貴様は本当に面白い奴だ。まったく性格も実力も性別すら違うというのに……きらりん☆に似ている。これが答えか。これが、私のしたかった、本当の――」


 気付いた頃には、俺の隣にゆらりん♪の姿があった。


「シールモード」


 ゆらりん♪に応え、SOUNDサウンド CONNECTコネクトが銃の形へと姿を変えた。


 シリンダーをスライドさせ弾を装填そうてんし、銃口をDEATHデス STARスターへと向ける。


SOUNDサウンド CONNECTコネクト SHOTショット!」


 瞬間。


 轟音と、もう一筋の迸る光が生まれた。 

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