第13話 誘い


 君たちの出会った怪人は、本来、この世界には存在しない異物だ。


 ゆえに存在そのものが不安定にある。


 それは異物がこの世界に及ぼした影響も同じで、崩壊した教室や廊下が元の姿に戻ったのはそのためだ。怪人に出会ったときに他の人間が巻き込まれなかっただろう? あれも修復力の一部で、世界のいびつを減らすために世界の法則が働いた結果だ。


 私たち魔術師は、その力を修復力と呼んでいる。


 さて、ここからが本題なんだが、修復力には限界値が存在する。


 異物に対して世界のもつ修復力が限界を超えた時、異物は世界の法則をじ曲げることになる。もう少し分かりやすく言うと――いや、それは腰をえて話し合おうか。


 お腹がすいたな。


 近くの喫茶店に行こう。


 ……え? 学校をサボることになる? 君たちは律義りちぎだな。最近の若者って奴はそんなに真面目な人間ばかりなのかい? 自分の命が危機にさらされているんだよ? 午後の授業はもう始まっているだろうし、そこは諦めてくれないか?

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