第11話 STAR LIGHT


「き、きらりん☆だとッ!?」


 そのあり得ない変身に対する驚きは、俺としずくどころか、隕石魔人いんせきまじんにまで伝染でんせんしていた。


 隕石魔人はわなわなと後ずさるが、その眼は歓喜かんきの色をびている。


「お、俺様はなんてラッキーなんだ!? 俺様が生まれるだけに飽き足らず、まさか、きらりん☆までもが現れてくれるとはなぁ!? こんな幸運が続くなんて信じられねぇ! この筋書きのない世界なら、俺様はきらりん☆を超えられる! テメェを倒して、俺様が本当に強いってことを証明してやれるぜぇぇえええええええ~~~~~~っ!!」


 隕石魔人のひじから先がボコりと膨れ上がって、三角形に広がる。


 その先端には穴が開いており、まるで小さな火山を両腕に着けているようだった。


 隕石魔人は両腕を伸ばし、俺へとその両腕の先端を向けた。


火山弾かざんだんをくらえぇッ!!」


 その穴が輝き始めたと思ったら、紅色の塊が幾重いくえにも吐き出される。


 本気になった隕石魔人の動きは速かった。


 そして、きらりん☆に変身したことに驚いていた俺には何もできなかった。


 思わず両腕を上げて身を守るが、そんなもので助かる様な攻撃には――見えなかったのに。俺の体の前には、緑色の魔法陣が浮かび上がり、自動的に火山弾をはじいていた。


 気付くと、俺の右手にはつえのようなものが握られている。


「それは! STARスター LIGHTライトッ!!」


 雫は言葉を続ける。


「その見た目は白いの先端に黄色い星が付いている杖だけど、その正体は、未来の技術を結集させた魔法少女に必須のアイテム! 術者の精神エネルギーを媒体ばいたいに術式を起動するそれは、魔法少女を守るために独自のAIが埋め込まれていて、自らの判断で魔法少女を守るために全力を尽くしてくれるのよ!!」


 目を輝かせて解説を始めやがった!


 雫さん、詳しすぎないですか!?


「お、俺様の火山弾を全て防ぐとは……やっぱり本物のきらりん☆かっ!? 上等だっ! 俺様に、お前の生きている意味を突き立ててみせやがれぇええええっ!!」


「怪人のくせにカッコイイ台詞せりふだなオイっ!?」


 展開の速さに着いていけていないのは俺だけらしい。


 隕石魔人は咆哮ほうこうとともに両腕を交差こうささせた。


 それはひとつの大きな塊へと融合して、巨大な火山を彷彿ほうふつとさせる三角形をかたどる。


「これが俺様の必殺技! 最強最大出力のハイパーウルトラデラックス大火山弾だっ!!」


 火口を思わせるその先端が、紅色の光を集め、淡く輝き始めるっ!


「この星ごとちりかえりやがれえぇぇえええええええええぇぇぇえええっ!!」


「星ごとぉ!? そ、そんなん絶対に過剰火力だろうが!?」


「うるせぇ! 吹き飛べぇぇえええええっ!!」


 隕石魔人の腕はすでに直視できないほどの輝きに包まれ、そこにエネルギーがまっているのだと容易に想像できた。


 な、なんて恐ろしい奴だ。


 隕石魔人にとって、きらりん☆に勝つことは、地球が壊れることよりも大事らしい。


「ナル! STARスター LIGHTライトのモードチェンジ!」


 慌てふためいていた俺を、雫が力強い眼差しで見つめていた。


「俺は魔法少女初心者なんだぞっ!? もうちょい詳しく頼むっ!」


「よく聞いて! STARスター LIGHTライトにはスタンバイモードと飛行モードにバトルモード、そして、ガインテンの怪人を封印する必殺のシールモードがあるの! STARスター LIGHTライトをシールモードへ変形させて、隕石魔人を倒すのよ!」


「……わ、わかった!」


 正直、よくわかっていなかった。


 でも、地球の危機なら、やるしかねぇ!


STARスター LIGHTライト! 頼むっ! シールモードになってくれ!」


 俺の願いは、STARスター LIGHTライトに届いたらしい。


 杖の先端に付けられていた星が輝いた。


 先端部分が大きくの中央へとスライドし、穴が開いたと思ったら、周りに残る角が展開しておうぎ状に広がる。STARスター LIGHTライトはロボットアニメさながら質量保存の法則を無視して変形していく。


 そして、俺の手元には刃先の無い大剣のに姿を変えたSTARスター LIGHTライトがあった。


 幼少期に観たアニメの映像がよみがえる。


 コイツが記憶にある力を宿しているのなら。


 俺はSTARスター LIGHTライトを両手で握り、頭上へかかげる。


 一足いっそく飛びで、隕石魔人へと距離を詰めた。




STARスター LIGHTライトォオオオオオッ! IMPACTインパクトッ!!」




 叫びながら、剣道のメンをするように頭上のSTARスター LIGHTライトを振りかぶる。


 それは、光の一閃いっせんだった。


 俺に呼応したSTARスター LIGHTライトの柄の先端から、全てを飲み込む光の柱がほとばしる。


 あまりの光量に周りが暗くなったかのように錯覚する。


 思わずつむったまぶたの中も、緑色の残像で塗り潰された。

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