檀道済4 暁将の肝っ玉  

徐羨之じょせんし劉義真りゅうぎしんを廃位しようと企み、

その意思を檀道済だんどうさいに告げる。

檀道済はその企みには首を振った。

結局、最後まで賛成しなかった。


だが結局、徐羨之らは止まらない。

劉義真を殺したあと、

今度は劉義符りゅうぎふの廃立を計画する。

宮廷内で徐羨之より召喚を受け、

内容を聞くと、こちらについては承諾。


廃立謀議前夜、檀道済は

謝晦しゃかいがトップを務める領軍りょうぐん府入りした。

そして、謝晦と同じ寝床で寝る。

言わば、寝首をかかれるはずがない、

と信頼していることを

行動で表明したことになる。


皇帝廃立。いくら暗君といえど、

大逆は大逆だ。謝晦は緊張のあまり、

その夜は眠れずにいた。

一方で檀道済、熟睡。


何という肝っ玉だ、この件で謝晦、

檀道済に感服したそうである。


徐羨之、謝晦は劉義符の廃立に。

傅亮ふりょうは遠く江陵こうりょうにいる劉義隆りゅうぎりゅうを迎えに。


この間、玉座は空白である。

その玉座の間の前を、檀道済は固めた。

いわば「宋帝室の盾」であった。




徐羨之將廢廬陵王義真,以告道濟,道濟意不同,屢陳不可,不見納。羨之等謀欲廢立,諷道濟入朝;既至,以謀告之。將廢之夜,道濟入領軍府就謝晦宿。晦其夕竦動不得眠,道濟就寢便熟,晦以此服之。太祖未至,道濟入守朝堂。


徐羨之の將に廬陵王の義真を廢さんとせるに、以て道濟に告げ、道濟が意は同じからざれば、屢ば不可なるを陳べ、納むるを見ず。羨之らの廢立せんと欲せるの謀てにて、道濟に入朝を諷ず。既にして至らば、以て謀りて之に告ぐ。將に之を廢さんとせる夜、道濟は領軍府に入り謝晦が宿に就く。晦は其の夕、竦動して眠りたるを得ざれど、道濟は就寢し便ち熟たらば、晦は此を以て之に服す。太祖の未だ至らざるに、道濟は入りて朝堂を守る。

(宋書43-20_胆斗)




寝床を同じくする、について、ようやく一つ腹落ちした。特にこういうシチュエーションだと、いつ裏切りにあってもおかしくない。このへんの信用を示すには、かなり重要な手立てになってくれるんだろう。実際、このシチュエーションで裏切ったやつもいるんだろうけど、相当な卑怯もの扱いになりそうだ。

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