劉穆之8 諸葛長民の異謀
しかし諸葛長民だけでは
任務に耐えないであろうことを恐れ、
補佐に
またその時に劉穆之には
及び護衛もつけている。
「何が起こっても対応できるように」
――というわけだ。
一方の諸葛長民は、
やはり、謀叛を考えていた。
だがぐずぐずし、
決定的な一歩を踏み出しきれない。
そんな中、劉裕の意図を探ろう、と
人払いをして、劉穆之に質問した。
「ちまたでは、おれと劉裕さまが
対立している、と言われている。
なぁ、なんでそんな
ありもしないことが
噂されるようになっちまったんだ?」
これに対し、劉穆之は答えている。
「公は遠征にあたり、
幼い子をお預けになっております。
公が将軍を信頼しておらねば、
到底このような対応は
できずにおりましたでしょう」
それを聞き、諸葛長民は安心した。
のだが、劉裕帰還後には、
捕まり、処刑された。
高祖西討劉毅,以諸葛長民監留府,總攝後事。高祖疑長民難獨任,留穆之以輔之。加建威將軍,置佐吏,配給實力。長民果有異謀,而猶豫不能發,乃屏人謂穆之曰:「悠悠之言,皆云太尉與我不平,何以至此?」穆之曰:「公泝流遠伐,而以老母稚子委節下,若一毫不盡,豈容如此邪?」意乃小安。高祖還,長民伏誅。
高祖の西に劉毅を討てるに、諸葛長民を以て留府を監ぜしめ、後事を總攝せしむ。高祖は長民にては任を獨せるの難しきを疑い、穆之を留め以て之を輔せしむ。建威將軍を加え、佐吏を置き、實力を配給す。長民にては果して異謀有り、而して猶豫し發す能わず、乃ち人を屏いて穆之に謂いて曰く:「悠悠の言、皆な太尉と我との平らかならざるを云わん。何ぞを以て此に至らんか?」と。穆之は曰く:「公の流に泝し遠きに伐せるに、以て老母、稚子を節下に委ねたり。若し一毫にても盡くさざらば、豈に此の如きを容れんや?」と。意ゆるに乃ち小しく安ず。高祖の還じたるに、長民は誅に伏さる。
(宋書42-8_仮譎)
うん、この辺を読んでると、諸葛長民を殺せるだけの理由があんまりなかったから罪状でっち上げて殺しました、という風にしか読めませんね☆ 長民果有異謀,而猶豫不能發とか、「いやそんな意図なかったんですよ実際のところ、だから猶予したもクソもないです」って可能性も十分に考えられる。あるのは劉裕にとって諸葛長民は殺さねばならない相手だった、ということ。
この目線は誰にでも向けられるべきものだと思うし、一方では素直にテキストを受け容れる必要もあったりするわけでもあり。あらゆる人間に、あらゆる可能性がある。ではそこを、素直にテキストを受け容れる中でどう史料批判的に行っていくか。限界はあるにせよ、やれるところまではやれると面白いよねって思う。
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