劉穆之6 劉裕の文字
例えば、書き物についてだ。
劉裕の字は、とにかく汚い。
これに対して劉穆之は常々言っていた。
「文字の巧拙など、些細なことです。
ただ、公のお言葉は国内外の
至る所に飛ばされるもの。
ですので、公よ。
ほんの少しで良いのです、
丁寧に書いては下さいませんか?」
だが劉裕に、
それを聞き入れる気はなさそうだ。
というより、この人の文字の才能は、
ここまでなのかもしれない。
ならば、と劉穆之は言う。
「筆の赴くまま、
思いっきり字をお書きなさい。
ひと文字が一尺に
なってしまっても構いません。
大は小を兼ねる、とも申します。
また勢いのある字は、
それだけで美しいものです」
劉裕は我が意を得たりと、
以後、六、七文字で
一枚の紙をいっぱいにするようになった。
帝舉止施為,穆之皆下節度。高祖書素拙,穆之曰:「此雖小事,然宣彼四遠,願公小復留意。」高祖既不能厝意,又稟分有在。穆之乃曰:「但縱筆為大字,一字徑尺,無嫌。大既足有所包,且其勢亦美。」高祖從之,一紙不過六七字便滿。
帝が舉止を施為せるに、穆之は皆な節度を下す。高祖が書は素より拙かれば、穆之は曰く:「此れ小事と雖も、然れど彼の四遠に宣ずるに、願わぶは公にては小しく復た意に留めんことを」と。高祖は既にして意を厝す能わず、又た稟分を有在す。穆之は乃ち曰く:「但だ筆の縱に大字を為し、一字が尺を徑ども、嫌いたる無かれ。大なるは既にして包ぜる所を有せるに足らば、且つ其の勢も亦た美し」と。高祖は之に從い、一紙に六七字も過ぎずして便ち滿つ。
(宋書42-6_豪爽)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888856292/episodes/1177354054888856587
ここで物語にしてます。ほんにこのエピソード好き。
しかし劉穆之、
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%9B%B8%E5%BE%8C%E5%93%81
書品下下品、すなわち歴代のトップ書家の末席(微妙だな……)に名を載せられているんだが、このエピソードに由来しただけなんじゃねえの感が半端ない。いや、きっと唐代にはもう残ってないですよね、劉穆之の真筆?
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