第4章:君がための英雄

 込められし桁違いの魔力を感じ、作業中のロキは顔を歪めた。近くにいるバァルもまた苦渋に満ちた表情と化した。

 あれはもう、誰にも止められない。

『させん!』

 さすがは六大魔王ベリアル。獣の包囲を吹き飛ばし、死力を尽くし向かってくる。ルシファーもまずいと見たか戦いながらも超重の力を向ける。

 彼らが焦るほどの力が、あの絶望色の球体に集っていたのだ。

『ドゥッカ、守レ』

 その攻撃は、突貫は、闇の王ドゥッカによって阻まれる。先ほどから痛みを訴えることしかしなかった彼女が、命令一つで二つの王の力を止める。

 闇がベリアルを取り込み、重力球をも深淵に沈める。

『大将!』

 咄嗟にベレトが炎を闇の王に向けるも、当然の如くそれは飲み込まれ、消えた。そしてわずかに見せた隙をガープは見逃さず、熱線がベレトの首を一つ焼き落とす。かすかにガープが微笑んで見えるのは、見間違いか亡霊か。

『無駄ダ』

 さらに膨れ上がる、絶望。

「居合、斬りィ!」

 それに向けてアストライアー最高火力の斬撃が放たれた。先ほどまでは放心する宗次郎を背負い撤退していた『斬魔』であったが、自らが断たねばならぬ最悪を前に練習を重ねていたレイの術理を用いる。

 おそらくは彼の能力に最も適した剣技。間違いなく『斬魔』史上最高の一撃であった。居合術に特化することは隙だらけとなり、それに適した立ち回りを求められることにもなる。まだ実戦では使えぬと判断していたが。

 使うは今――

 魔族が目を見張るほどの破壊力。これが人族から放たれた攻撃かと驚くほどの、最大火力に恥じぬ一撃は、炎に到達し、消えた。

「……ッ!?」

 桁が、違ったのだ。

 そして魔族たちも理解する。見た目以上に今のシン・イヴリース、桁外れの強さを持つのだと。彼らは嫌でも思い出してしまう。

 かつて自分たちを、六大魔王全てを相手取り蹂躙したオリジナルのシン・イヴリースを。近づきつつある。しかも彼女にはなかった強かさを備えながら。

 もはや誰も止められぬのでは、と思ってしまうほどに。

 ファヴニルに喰らいつかれながらも、トリスメギストスもまた自身の最大火力を放つ。『ガンブレイズ』、あの炎とは同じ系譜。最強のシン、アポロンから分け与えられたモノ同士。何か、干渉の一つでも起こってくれと、願い放つ。

『ソレモマタ 無駄』

 されど、当たり前のようにその願いもまた消える。

 誰もが声を失っていた。絶望の炎を前に。

 誰もが、絶望に、堕ちる。

『相棒、これは、もう』

「ギゾー! 俺も、何か、とにかく捻り出す!」

『思考が、想像がまとまってねえ! それじゃあ剣一本出ねえぞ!』

「くそ、くそ、くそ、何か、何か、あれを防ぐ術は」

『相性とかそういうレベルじゃねえ。アルクスでも無理だ。相棒のフルパワーで何重にしようと、あの火力は止められねえよ』

 怪我人が集められた区画が、にわかに発光する。おそらくはシャーロットが朦朧とする意識の中、それでも能力を発動し僅かでも力を削ごうとしているのだろう。それと同時に本陣の前に何重にも重ねられた『水鏡』が顕現する。無駄と分かっていても足掻く。一人では無理でも皆の力を合わせれば。

 しかし、あの絶望を前に前向きでいられる者など、戦う意思を持つ者など、そう多くはなかった。英雄として呼ばれた者たちでもそうなのだ。

 多くはその無為を、渇いた笑みをもって見つめていた。

「ゼン、俺はさ、別に聖人じゃないんだよ。本当は世界のことなんて、それほど大事じゃない。見知らぬ他人の痛みなんてわからないし、一生それを分かち合うこともないと思う。俺はね、一人で良いんだ。たった一人で、良いんだ」

 オーケンフィールドの独白。その儚げな笑みを見て、ゼンは強く在り続けた男の弱さを垣間見た。彼ならば大丈夫、その言葉の無責任さを、思い知る。

 彼もまた人間で、苦悩する存在なのだと、今更理解する。

「君は、俺に何を願う?」

 その笑みはとても穏やかで、たった一人を見つめていた。

「お、俺は、ずっと、お前の、重荷、だった、のか?」

「ああ、そうだよ。そしてそれが、それだけが、俺が人生で初めて――」

 オーケンフィールドはゼンを、抱きしめる。片腕で、恐る恐る。

 そんな弱さもまた、彼が初めて見せるもので。

「抱いた望みだった」

 すっとゼンから離れ、立ち上がるオーケンフィールド。その背は今までになく弱々しく、それでいて明確なモノであった。

「俺、は」

「君は好きにやっていい。義務感じゃあれは倒せない。心の底から捻り出した想いじゃないと、同じ心の底からの想いには届かないから。大丈夫、俺とゼンは違う。君はありのままで、皆の心を穿つ英雄だ。俺がそう成ったように」

 オーケンフィールドは晴れやかに笑った。

「最後くらいは俺も、好きにやらせてもらう」

 そう言って、ゼンを背にハンス・オーケンフィールドは構えた。

「君を守るよ。君だけを、守るッ!」

 金色の光が天を衝く。

 まだこれほどの力を残していたのか、と加納恭爾は目を見張るも、冷静に遥か届かぬ力であると判断し、溜めにためた最強の炎を撃ち放つ。

 誰も止めることなどできはしない。

 真の絶望を彼らに送るため。

 立ち向かうはたった一人の男。英雄の仮面を脱ぎ捨て、ただ一つの想いをもって最後の拳に全てを賭す。シンプルでわかりやすい構図である。

 ロキもあれで理解しただろう。総員撤退などさせてくれる相手ではなかったことを。最速で、犠牲を覚悟して転送してくれるはず。

 全てはあれを攻略するのみ。

「最後まで無情の英雄であれば勝てた。世界が俺に期待したのはそこだったんだろう。だとしたら、本当に見る目がない。その結果はこの世界に何も残さない。たとえ勝っても、残らぬ以上同じことが繰り返されたさ。賭けてもいい」

 一歩ずつ、踏みしめる。

「次は、間違えてくれるなよ。本物は、そこにいる」

 背中の先にある大荷物。心の底から背負いたいと思った唯一無二。

 そのためだけに振るう拳の何と――

「守るさ」

 極大の絶望を前にちっぽけな男が一人、拳を突き出した。

 一瞬で消し飛ぶ、皆がそう思った。

「ウォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオァァァァアアアアッ!」

 だが、炎は、僅かに速力を落とす。

 たった一人の男の意地が、絶望をわずかなれど、食い止める。

「お、オーケンフィールド」

 もう、とうに精魂尽き果てた英雄の成れの果て。加納恭爾のように魔力を補充する機構があるわけでもない。ただ、捻り出しているのだ。

 限界を超えて、乾坤一擲の拳を。

 誰が声を上げる前に、ゼンもまた叫びながら炎雷を放つ。ちっぽけでもいい。ほんの僅かでも構わない。それでも仲間を支えんと力を尽くす。

 僅かほどの助力にもならぬ力の差。それでもオーケンフィールドが前に立ち、ゼンが成すべきことを示した。その姿を見て、他の者も続く。

 『斬魔』が、『轟』が、満身創痍であるアストライアーの面々が、ボロボロのエルの民が、ドゥエグの皆まで金槌を投げつける始末。

 か細く、砂漠に砂粒を落とすかのような愚行である。

 加納恭爾はそれを嘲笑った。

 しかし、闇の王ドゥッカの中より噴き出した大量の魔力。六大魔王ベリアルの意地、数を減らした軍勢もまたそれに続き攻撃を向けた。ルシファーも、バァルも、同じように持てる力を絶望へと向けた。彼らに生まれる隙。

 そこを突き続けてきた男は興味深そうに絶望に抗うただ一点を、彼らの象徴を見つめていた。戦っている場合ではないと、男は嗤う。

 様々な種族の力が、意思が、ただ一点に寄り集まる。

 阻む者がいなくなったファヴニルが其処目がけて飛翔する。絶望、ただ一点に全てを注ぐ男にそれを防ぐ術はない。

 だが、オーケンフィールドは愚直に前だけを見ていた。

「コォ!」

 信じていたのか、興味がなかったのか、それでも彼は微笑んだ。

『ォォァァア?』

 今、芽生えた希望を守るは守り人。守るために奪うという矛盾に満ちた道をただひたすらに歩む武人、大星。極大の震脚より発生する力の奔流をもって、両の手で穿つは国士無双の一撃。衝突のエネルギーにて身体が四散しかけるも、ここより繰りしは刹那の芸術。極め、高め続けた先祖の、幾代の龍の、その積み重ね。

 衝突のエネルギーすらも、相手の攻撃すらも、刹那にて操り、余人には理解することすら叶わぬ二撃目に繋げるは――

 黒白。

 大星ですら実戦で初めて使った机上の空論。白と黒、コインの裏表、陰陽。長き歴史を伝え聞き、紡いできた真の龍のみが成す、武の極み。

 第一世代の竜族、ファヴニルが腐肉と共に爆ぜ、消し飛ぶ。

「許せ、この程度しか、俺には出来ん」

 両腕を喪失した大星が背中のオーケンフィールドに謝罪する。

 それを聞いてか聞かずか、オーケンフィールドの笑みが深まる。炎の侵攻が、ゆっくりと、確実に、遅くなる。加納恭爾がさらに力を注いでも、それ以上の手応えが返ってくるのだ。ありえない状況である。

 こんな奇跡、在ってはならない。

「ああああああああああああああああああああああああああああ!」

 オーケンフィールドの叫びに、妨害しようとしていたニケが停止する。頭を抱え、苦しみながら地に堕ちるニケ。

 こんな都合の良い話、在るはずがない。

 力が、集う。様々な種族の、色とりどりの、力が。

『……エクセリ、オン』

 加納恭爾の意思とは無関係に、無意識に紡がれた言葉。欠片である己にも刻まれた深き傷。忘れ難き滅びの痛み。

 皆の希望をまといて、虹が生まれた。

 希望の象徴であった彼そのものが、希望の刃『エクセリオン』と化す。

 虹が、絶望の炎を吹き飛ばした。

「俺は偽物だ。そんな貌をするなよ、シン・イヴリース」

 虹が、シン・イヴリースに突き立つ。

『オーケンフィールドォォォォォォオオオ!』

 シン・イヴリースの絶叫。身体に空いた巨大な風穴は人々の希望の大きさ。まだ死んでいないと希望は絶えていないと告げているようで――

「さようなら、ゼン。俺は、君を――」

 一向に再生が始まらぬ傷痕を残し、確信に満ちた笑みと共にオーケンフィールドは砕け散る。絶叫し、悶えるはシン・イヴリース。

 勝者は生きている方、魔王である。

 だが、勝ったはずの魔王は笑うことが出来なかった。痛みが、苦しみが、灼熱のそれらが身を焦がす。無敵の身体に最強の権能を得た。

 オリジナルを封じ、征く手に阻む者など存在しないはずだった。

 あと一押しで、倒せるかもしれない。

 そんな考えが皆の中に過ぎる。

 だが、想像を超える痛みによって理性を欠いた加納恭爾、否、シン・イヴリースはありとあらゆる方向へ持てる権能をバラまき始めた。

 敵も味方も関係ない、破壊の嵐が巻き起こる。

 虚無が、超重が、次元が、雷が、吹き荒れた。

「『アルクス!』」

「オー・ミロワール!」

 ゼンとアリエルが守らねば、余波だけで本陣が瓦解しかねるほどの破壊。

「な、なんだ、これは」

 狂奔するシン・イヴリースの眼、全てを破壊する終末の獣。旧き者たちは知っている。あれは究極の一と成った、オリジナルの眼であると。

 一瞬、彼らの頭に最悪のケースが過ぎる。

 だが、ほどなく破壊の嵐は収まった。誰もが呆然としていた。当の本人である加納恭爾ですら、自らが成したことを信じられぬと呆けていた。

 そんな、戦場が停止する中――

『疾く、逃げるんだねえ。ここが唯一の隙だろうに、尽き果てたあんたらが勝ち切れるほど甘かないよ。さっさと失せなァ』

 ベリアルが空けた次元の隙間を喰い破り、巨大な海龍が姿を現す。全長数キロにも及ぶ超巨体をうねらせながら、最後の六大魔王が姿を現した。

『バカ騒ぎもこれまでさね、欠片持ちィ』

 宇宙が津波と化してシン・イヴリースとアストライアーの間を分けた。

 双方ともに理解不能の現象である。

「……ぐ、が、ようやく、姿を、見せた、か」

 嗤うは加納恭爾。かの海龍レヴィアタンの能力こそ、この先星の海を征く上で必須のモノ。絶対に手に入れねばならぬものであった。

『今のあんたじゃあたしからは奪えないよ。とりあえず阿呆どもは回収させてもらうかねェ。義理もクソもないが、一応弟なんだよ、その阿呆も』

 闇の王の体内が逆流し、魔獣化の解けたベリアルが流れ出てくる。

『あ、あああ!?』

 意思に反した、『流れ』に闇の王は戸惑っていた。

『……俺が、兄、だ』

『……助け甲斐のない阿呆だよ、あんたは。何してんだい、トリス。年長者のあんたが冷静な判断を下すべきだろうに。言っとくけどねえ、あたしが加わったところで、青空大好きメルヘン野郎が加わったところで、制限下じゃ万に一つも勝ち目なんてないんだよ。そもそも人族以外、シンに勝てるよう造られちゃいないのさ』

 さしものトリスメギストスもレヴィアタンの前では軽口など叩けない。

『あれを追い詰め過ぎるんじゃァないよ。その先は、互いに望むところじゃァないさね。そうだろう、欠片持ちィ』

 顔を歪める加納恭爾。六大魔王全て、シンの知識を多少は有している。だが、明らかに彼女だけは他の者よりも多くの知識を持ち、同時にずっと先を見つめていた。おそらくこの介入とて、先々を考えてのことなのだろう。

『精々足掻くんだねェ、人族。あたしらからすりゃ助ける義理なんぞ皆無。親がどう言おうが、優秀な弟をやっかむのは古今東西、そう生まれついた者の宿命さね。あんたらが滅びてくれる方が、あたしらの気も晴れるってもんだよ』

 憎悪にも似た感情。それを向けられ彼らも共闘などありえないと知る。ともすればシン・イヴリースに対するものよりも攻撃的な意思を感じた。

「術式、始動」

 合図なく、ロキは交換術式を起動させる。

 誰もそれを止めることなどできない。あれほど弱ったシン・イヴリースを前に退くなどと言う選択肢。しかも、オーケンフィールドを失っているのだ。

 凄まじい数の犠牲も、あった。

 それなのに――

『正解だ』

 本当にそれでいいのか、と術式の縁で迷うゼンに、その境界線の先でバァルが言葉をかけた。これから先に迷うことないよう。

『彼にはまだあれだけの破壊を引き起こす力がある。それは理性とトレードオフなのかもしれないが、その結果オリジナルが復活するのでは、それこそ絶望だ。今は堪え、耐えて欲しい。今回は、とても惜しかった。本当に、惜しかった』

 バァルは申し訳なさそうに微笑み、

『諦めないでくれ。身勝手ながら、そう願う』

 その言葉が言い終わるかどうかのところで、術式範囲内の地形そのものが入れ替わった。アストライアーは去ったのだ。多くの犠牲、間に合わなかった味方、全てを置き去りにして、彼らは去った。苦渋の決断であっただろう。

 そして苦難の始まりでも、ある。

『何が六大魔王だ、馬鹿らしい』

 そう吐き捨てたくなるほど、彼らはまたしても物語の中心にいなかった。出来たことと言えば大きな犠牲を払ってわずかな時間を稼いだことだけ。

 レヴィアタンが現れねば確実にひと柱、殺されていた。

『……退かぬ所を見ると、まだ戦意があるのか?』

 加納恭爾が魔族に問う。宇宙の『流れ』に飲み込まれ、月の重力圏外に放り出された多くの意思無き獣たちを除いても、シンの軍勢はまだまだ戦力を持つ。多くを失ったベリアルの軍勢にそれを阻むことは出来ないだろう。

 まあ、宇宙に近いこの場所でレヴィアタンとまともにやり合える戦力、と言えば両手に収まってしまうだろうが。能力があまりに厄介過ぎた。

『全部回収していくよ。こんな阿呆どもにも使い道はあるものさ。特にカウンターとして残されたレウニール産は長生きするように創られているからねえ。哀れだろう? もはやあたしらはそれに、生まれた理由に、すがるしかないのさね』

 欲しい能力ではあるが、それは同時にこの状況でやり合うには手に余る代物であった。出来ればルシファー、ベリアルはここで落としておきたかったが。

『心配しなくとも、あんたが人族に勝ちゃあそれで済むよ。第一世代がまともに稼働してんのは精々残り千年が良いとこさ。第二世代も似たようなもん。それより下に苦戦するほど今のあんたは弱かないだろう? 気にするだけ無駄だよ』

 レヴィアタンが長大なる身体で渦を巻き、魔族たちが有無を言わせずその『流れ』に飲まれ始めた。あのベリアルもルシファーも逆らえずぐるぐる回っている。

『あたしらはこれ以上関知しないさね。好きにやりなァ』

『ならば、人族の死体及び生存者を置いて行って欲しいのだが?』

『あたしの昼飯さね。レディの食事に茶々いれんじゃないよォ』

 ぞのままレヴィアタンはぐるぐると流されていく魔族たちと共に、次元の彼方へ消えていった。それと同時に加納恭爾は膝を屈する。

 未だ癒えぬ傷と、失いかけた理性。

 せっかくオリジナルの意識を封じたのに、結局理性を失えば獣に成ることに変わりはない。理解はしていたつもりだったが、改めてそのおぞましさに震える。

 果たして次、元に戻ることが叶うか否か――

「……ぐっ」

 そして、癒えぬ傷、消えぬ痛みに、加納恭爾は顔をしかめていた。

 彼にとってもこの戦い、勝利であっても苦みの残るものであったのだ。


     ○


 帰還した英雄たちを出迎えた人々は、異様な空気に息を呑む。

 誰もが下を向いていた。

 出発時に比べ、半分以下となった人数。生き残った者も負傷していない者はごくわずか。まともに動けぬ者も少なくない。大敗である。言い訳の余地なき敗北。

 誰もが言葉を発することが出来ない。

 それでもぽつぽつと、名を呼ぶ人が現れ始める。家族を、友人を、恋人を、彼らの名を呼ぶ。応ずる者もいれば、応ぜぬ者も、いる。

 誰かが泣き出した。悲しみは、伝播する。

 今日、彼らの中で希望は絶えた。

 奇跡を信じるには、あまりに多くを失い過ぎたのだ。

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