最終話:メインプレイ:エンディング4
GM:……最後に、ロジカのグランドエンディングです。登場をお願いします。
ロジカ:うむ。シーンイン!
面影島での決戦から、
ロジカはと言うと……眉間に
赤い本――いわゆる大学入試の参考書や過去問の類だが、それらにはある共通点があった。それは、ヒーロー養成科を有する大学のものという事だ。
ロジカ:「むぅ……」
フィリップは知っている。ロジカは事件以来、正規のヒーロー資格を取得するべきかどうかで悩んでいるのだ。
フィリップ(GM):「……悩みは尽きないね。とりあえず、一息入れたまえ」
コーヒーを差し出しつつ。
ロジカ:「……
と、差し出されたコーヒーを受け取って一服。
GM:口に含んだコーヒーは、いつもの濃いブラックだ。
ロジカ:精神力でぐっと堪えて
「……私には砂糖たっぷりのエスプレッソだって、何度言えばわかるんだ~!」
フィリップ(GM):「ふふふ。しかし、何をそこまで悩んでいるんだい? 資格取得の良い機会だとも思うけれど」
コーヒーに砂糖を足しながら、ロジカは真面目な表情を作る。
ロジカ:「……あの戦いで思い知ったのだ。正規のヒーローが背負う、制約というものを」
フィリップ(GM):「…………」
ロジカ:「今回はそれを乗り越え、Rメモリを絶つ事が出来た。
だがそれは、守矢、真白、クラウ、ロボト、目暮、“イレイザーヘッド”、ユピテル……彼らという個人の力によるところが大きい。
警察やUGNという組織自体、そう軽々しくは動けず……時には、上層部の高度な判断とやらで動きが止まってしまう」
フィリップ(GM):「確かに。あの一件がその典型的な例だったね」
頷き、ロジカは自称イタリア風エスプレッソを一口すする。
ロジカ:「もし彼らのような人物がいなかったら、この事件はどうなっていたか。それを思うと、軽々しく正規の資格に手を伸ばす事は出来ん」
フィリップ(GM):「……なるほど。それで未だに志望大学すら決めかねているというわけか……」
ロジカ:「ああ……いや、うん。よし決めた!」
フィリップ(GM):「おや、決まったのかい?」
ロジカ:「ヒーロー養成科のある大学で、犯罪心理学とか法学を学ぼうと思う!」
フィリップ(GM):「ふむ。その心を聞いても?」
ロジカ:「簡単な事だ。いざとなればヒーロー養成科に転籍して資格も取れる! うん、要するに行き当たりばったりだな!」
堂々と宣言するロジカに、フィリップは苦笑を浮かべる。
フィリップ(GM):「……仕方ないなぁ。そんな行き当たりばったりな君に、一つの可能性を提示してみようか」
ロジカ:「犯罪心理学や法学は、ヴィジランテのままでも役に立つし、ヒーローになっても無駄にはならん! わははは!」
フィリップ(GM):「うん。僕が正規のヒーローになるというのはどうだい?」
一瞬の沈黙。そして。
ロジカ:「何ィ!?」
フィリップ(GM):「僕はヒーローとして。君はヴィジランテとして。二人で力を合わせて、表と裏から街の平和を守ればいい。
白紙の本で調べた限りでは、ヒーローとヴィジランテのバディというのは世界的に見ても例がないそうだよ。どうだい、わくわくするだろう?」
ロジカ:「……ふむ。まあ、何だ。正直に言えば不安も心配もあるが――中々に面白い提案だ、好奇心が勝る」
フィリップ(GM):「不安も心配も、必要ないのさ。僕らは奇跡の名探偵。いつだって不可能を可能にしてきた。そうだろう?」
ロジカ:「む、まさかお前にそれを言われるとはな。だが――その通りだ」
フィリップ(GM):「これから忙しくなるね。受験に試験に事件解決に。やる事は盛りだくさんだ」
ロジカ:「そうだな。忙しくなる、な……」
どこか
ロジカ:「そういえばフィリップ。師匠の件だが……その後、何か掴めたか?」
フィリップ(GM):「君の師である“彼”が眠る場所について、だったね。既に検索は終わっているよ」
ロジカ:「そう、か。ありがとう。それなら、弟子として墓参りに行ってやらねばな。一緒に来てくれるか、フィリップ?」
フィリップ(GM):「当然さ。僕も彼にはお礼を言わなければならないからね」
ロジカ:「……じゃ、一緒に師匠に会って……日本から持参した
そう言って、ロジカは少しの寂しさを滲ませながら小さく笑った。
フィリップ(GM):「……そうだね。それが良いと思う。僕も何かお供え物を用意しておこう」
ロジカ:「……よし。そうと決まったら、忙しくなる前に行かないとな!」
フィリップ(GM):「善は急げとも言う。早速、準備に取り掛かるかい?」
ロジカ:「ああ。しかしパスポートはどうするか――上手く誤魔化せないかな?」
その時。カランカランと来客を知らせるベルが鳴る。
フィリップ(GM):「おや、お客さんかな」
ロジカ:「らしいな。回覧板ではないだろう。残念だが……まずは仕事だ。困ってる人は見過ごせない」
慌てて赤本の山を隅っこに追いやり、ロジカは襟を正して深呼吸を一つ。
ロジカ:「
そして現れた来客を、いつもの不敵な笑顔で出迎える。
ロジカ:「私が探偵のロジカ・ミリターレだ! さあ、困り事は何かな?」
……ここはF都。自然と都会の共存する、どこか不思議な魅力を持った街。
この街には探偵がいる。イタリアかぶれの少女と、知識欲旺盛な謎の少年。二人で一人の――
~
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