第4話:メインプレイ:エンディング3

GM:では最後のエンディング。ロジカの個別シーンです。登場をお願いします。


ロジカ:シーンインだ。


GM:君は先の作戦からずっと気を失ったままのフィリップを探偵事務所で介抱していた。そして献身的な看病のおかげか、ついに彼は目を覚まします。


フィリップ(GM):「ん……おや、ここは……」

ロジカ:「やっと気づいたか。寝坊助」

 カップに白湯を注ぎ、手渡そう。

フィリップ(GM):「ロジカ。そうか、僕は意識を失っていたんだね。すまない、世話をかけたよ」

 上体を起こし、白湯を受け取り静かにすする。

ロジカ:「あれから色々と大変だったんだぞー。本当に色々と……まあ」

フィリップ(GM):「心配をかけたね。教えてくれ、ロジカ。僕が倒れてから何が起きたのかを」

ロジカ:「ああ、教えてやる」

 事の顛末を語る。警察とUGNの甚大な被害。そして彼らが手を引くと決めた事。

「――以上だ」

フィリップ(GM):「そうなったか……すまない、肝心な時に君の力になれなかった」

ロジカ:「……悔しいが、モンスターを手早く処理して“ユートピア”に当たる事は不可能だった。私だって、それくらいはわかる。もやもやはあるがな」

フィリップ(GM):「…………」


 沈黙が、二人の間に落ちる。それを先に破ったのは、フィリップの問いかけだった。


フィリップ(GM):「しかし、僕に何も訊かないのかい?」

ロジカ:「お前が話したいと思ったら、いつでも聞いてやるよ」

フィリップ(GM):「……正直、僕もまだ混乱している。けど、君には言っておこう……記憶が、戻った」

ロジカ:「そう、か」


 フィリップは手に包んだマグカップを見つめ、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。


フィリップ(GM):「僕の本名は、相良さがらユウ。僕はかつて、面影島に暮らす読書を愛する平凡な少年だった。

 けれど……ある日、面影島でヒーローとヴィランの大規模戦闘が起きた。その巻き添えになった僕は――」




「――死んだ、はずなんだ」




ロジカ:「なっ……だが、お前はこうして……いや、まさか」

フィリップ(GM):「僕の頭脳は既に、自身の現状についてある仮説を立てている。その様子だと、君も同じようだね、ロジカ」

ロジカ:「ああ。たまには探偵らしく推理してやる。

 敵拠点で発見した情報には、オモイデ様は世界に刻まれた記憶を呼び起こせる、とあった。そうした世界の記憶が物理的実体を持つ可能性も、否定できない……と思う」

フィリップ(GM):「流石だ、名探偵。僕も同意見だよ。

 僕はオモイデ様によって再生された記憶――黄泉還った死者なんだ」


GM:ここで、ずっと非公開にしていたフィリップのDロイスを公開します。彼の持つDロイスは、『黄泉還りデッドメモリー』でした。

PC一同:なるほど……。


ロジカ:「……まあ、何だ。色々と悩みもあるだろうが……私から言うことは、一つだけ」


「お前は、私の相棒だ」


フィリップ(GM):「…………」


 フィリップからの返答は、無言。その沈黙は、やけにロジカの胸をざわつかせるのだった――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る