第3話:メインプレイ:エンディング2

GM:では、続いてはロジカのエンディングシーンですね。


ロジカ:シーンイン!

 舞台はミリターレ探偵事務所だ。

「復讐譚は終わり、か……」

 アロマキャンドルの火を消し、事務所のカーテンを開けて、差し込む西日に目を細めながら呟く。

「ああ、そうだ。今回は――最後まで私を信じてくれてありがとう、フィリップ」

フィリップ(GM):「ん? どうしたんだい、改まって」

ロジカ:「――復讐の炎に身を焦がす者は、闇の中を歩まねばならぬ。だから私は、それを貫き通した」

 これを要約すると、「復讐は悪いことだから、復讐中は悪い子になりきってました!」という意味になる。


一同:なりきってただけ!?

ロジカ:そう、これが闇落ちの真相である!

一同:(爆笑)

ロジカ:私だって唐突に闇落ちしたわけではないのだ! いけないことだから悪ぶっていたのだ!

一同:真面目かッ!(爆笑)


フィリップ(GM):「礼には及ばないよ。君が闇に染まるなら、僕は最後まで光を信じる。それでこそ釣り合いが取れるというものさ」

ロジカ:「ふっ……それもそうか」

フィリップ(GM):「それに、僕だって勝算もなく君を盲信していたわけじゃない。

 自分も危険域にありながら、君はヒーローズクロスを使わなかった――いざという時に備え温存していた。

 それを見て思ったのさ。「ああ、ロジカはロジカだな」ってね。だから君を信じる方に賭けた。分の良い賭けだったとも」

ロジカ:「……言うじゃないか」

 しかし、西日に向けて黄昏れた表情を作り。

「だが、この足は冥府魔道の沼に浸かってしまった……もはや私の戻り道は――」


 ピンポーン。


ロジカ:事務所のチャイムが鳴る。

「あ、はーい。今出ます」

 とばたばたしていくロジカ。そして彼女が玄関先から戻ってくると――手を後ろに回してにやにやしており、なんかさっきまでのシリアスムードは消えているのである!


一同:!?


フィリップ(GM):「? どうしたんだい、やけに上機嫌じゃないか」

ロジカ:「ふっふっふ……なんだと思う? なんだと思う?」


ロボ子:いっちゃんかわいい……。

真白:かわいい……(笑)


フィリップ(GM):「一体何が、そこまで君をニヤけさせ――打ち震わせるのか。興味深いね」

ロジカ:「これはサンタ・マリア・ノヴェッラの新作コスメ……いや、それ以上だよ。知りたいかー? 知りたいかー?」

フィリップ(GM):「ああ。とても気になるね……!」

ロジカ:「仕方ないなー。ほれ、これだ!」

 と、ロジカが差し出したのは、お店のドアによくかかっているオープン&クローズド(ちゃんとイタリア語で書かれている)のプレートだ。だが……!


一同:だが……!?


ロジカ:プレートには、へったくそな野良と思しき毛色の猫の絵が描かれている! 当然、既製品の模様ではない。


一同:あー! なるほど……!


フィリップ(GM):「ふむ、この猫の困り眉……もしかして」

ロジカ:「描いたのは近所の……そう、いうなれば画伯一派さ。ブン太を助けたお礼に、だそうだ」

フィリップ(GM):「なるほど……そういうことか」

 表情を崩す。

ロジカ:「ははは! 世界にただ一つのプレートだ! 嬉しいじゃないか~!」

 上機嫌でプレートを掲げて、るんるん踊ってる。なんかもう冥府魔道に浸かった足とかはどうでもいいらしい。

フィリップ(GM):「良かったじゃないかロジカ。これでタコパの赤字もチャラだね」

ロジカ:「これは黒字や赤字なんて金銭の多寡たかで計れるものじゃないもーん!」

フィリップ(GM):「やれやれ……まったく君は見ていて飽きないよ。そうだ、そろそろ出来上がる頃合いかな」

ロジカ:「え、何が?」

フィリップ(GM):「実はね、僕からも君に用意したものがあるのさ」


 そうしてフィリップは、ニヤリと笑って本を閉じる。




フィリップ(GM):「ロジカ・ミリターレ The Movie。今回の君の活躍中二ムーブを収めたPVを作ってみた」




ロジカ:「え、え?」

フィリップ(GM):「さ、再生しようか。君ならもちろん最後まで観てくれると信じているよ」

ロジカ:「ま、待て……ちょっとまだ気持ちの整理が! あー、始まっちゃった!」


 画面に映し出される闇落ち()ロジカの奇行の数々。それに対し、いちいち合いの手や解説を挟むフィリップのナレーション……。


ロジカ:「すとーっぷ! すとーっぷ! ストップのイタリア語ってなんだー!?」

 その後、すっかり茹でダコになったロジカが発見されたとかされてないとか。


 ちゃんちゃん。

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