第85話 Each of the day to day
季節は春
Rito Reila Seia Miku 大学3年生
星南大学
Rito
気がつけば大学3年
Fumiyaと二人で生活するようになって
はや5年
父親と母親も正式に離婚が成立し
本当に家族はバラバラになった
バラバラになった今のほうが
バランスがとれている
今まではただ同じ家に住んでいただけ
あの頃よりも物理的に離れた今のほうが
うまくいっている
母親は新しい仕事にも慣れ
はじめての一人暮らしも
満喫しているらしく
昔では考えられないくらい明るくなった
母親がこんなに楽天的な人間だとは
知らなかった
家族で暮らしていたあの頃は
いつもピリピリしていて
いつ怒りだすかいつも構えていたから
父親は父親で母親と離れて
心機一転頑張っている姿を見て
気持ちが変わったのか
あの頃よりも本当の夫婦かのように
話すようになった
その姿だけを見ていると
まるで離婚した夫婦とは思えないぐらい
仲のいい夫婦に見える
FumiyaもFumiyaで
物理的に離れたことで
Fumiyaの本来持ってるありのままの彼が
出せるようになったんだと思う
いつも母親の期待に応えていたFumiyaは
あれは本当のFumiyaでは
なかったんだと
離れてお互いのありがたみに気づく
だからバラバラになって良かったと思う
離れたことでたまに四人で
集まるようになった
俺たちも成人
お酒を飲みながらお互いの近況報告を
語り合う
まさかこんな日が来るとは
思ってもみなかった
離れてはいても色々と世話になっている
高校生の時に
医学部にすすむか薬学部にすすむか
悩んで
理系はどうしてもお金がかかる
諦めようと思っていたら
父親が好きな道に進めと言ってくれて
薬学部に進むことにした
医学部を諦めた理由は
金銭面というのは表向きな理由で
単純に医学部に進む能力がなかったから
漠然と医学の道に進みたいという
思いがあった
新薬を開発する仕事に就けたらと
思っている
Reila
大学3年の春
ここまであっという間だった気がする
ふと思う
特別転生者として
日々任務をこなしているのか
特別転生者の人生は基本的に
10歳から30歳までの20年間
普通転生者がここで一生を終えるのに対し
特別転生者の人生は短い
それからもう一つ
特別転生者は海外に行くことがない
日本に生まれて日本で使命を果たす
これが非常に大切らしい
それなのになぜか国際学部を
選択してしまった私
どんなに他の国の言語を覚えたとしても
文化を学んだところで
それを発揮する日はこない
でも最近視点を変えて
外に行くことはなくても
外から来た人を迎え入れることは
できるって
Seia
大学に入って2年が経つ
Mikaちゃんと離れてもう5年も経つ
今だに忘れることができない
もうMikaちゃんのような子には
一生出会えない気がする
彼女に出会って気づいた
俺は強気な子が好きだってことを
それまではどちらかというと
おっとりしてて控え目で
自分に意見を合わせてくれて
けんかになんか絶対にならない人がいい
って自分では思っていた
小学校の時に好きだった
Sayakaちゃんみたいな子
でも俺は結局Sayakaちゃんと会う約束を
断ってMikaちゃんを選んだ
自分にないものを持ってる人がいいって思う
大学にだって
自分とは違う人はたくさんいるのに
何かが違う
いつもどこかでMikaちゃんの存在を
探している
彼女と全く同じ人なんて
いるわけないのに
もう一生会うことのない彼女を
忘れられないなんて
こんなに不幸なことはない
Miku
毎日毎日
学校行ってロースクール行って
家に帰ってからも勉強して
頭がおかしくなりそう
でも今の私にはそれしかないから
もう誰とも付き合わない
あんな思いするぐらいなら一人でいい
一発で試験に合格して弁護士になる
先輩の無念をはらす
こうしている間にも月日は過ぎていく
犯人につながる証拠も
ほとんど残されていないと思う
それでも必ず犯人を捕まえる
私が今生きてる理由はそれだけだから
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