第53話 in the case of Rui
高校2年の春
進路希望の時期
予定通り宇宙航空学科のある大学を目指す
放課後
今日は進路相談の日
まだ来ない母親を永遠待っている
昨日の朝から友達と温泉旅行に
出掛けていて
昼には帰ってくるから
三者面談は必ず行くと言っていたのに
一向に来る気配がない
普通面談日にかぶせて旅行に行くか
先生「栗山くん、お母さんは仕事?」
まさか昨日から温泉旅行に行っていて
忘れてるのかもしれませんとは言えない
Rui「おそらく」
「困ったねぇ、進路の話なんだけど」
「今日は遅くなると思うんで
母親なしでお願いします」
「うーん、本当はお母さんと
話したかったんだけど
仕方なない、はじめるか」
「はい」
「栗山くんの希望は.....」
ガチャ
えっ、嘘だろ靴がある
ということは本当に忘れてたのか?
母親「あっ、おかえり」
Rui「おかえりじゃねぇよ
今日三者面談だったんだけど」
「あっ、そっか」
本当に忘れてたらしい
「お母さん今から先生に....」
「もういいよ、話してきたから」
「そう、ごめんね、Rui怒ってる?」
そりゃあ、怒るだろ
「お母さんうっかりしてた」
「うっかりじゃねぇよ
もう母さんに振り回されるの
うんざりなんだよ」
「Rui ....ごめんね」
「もういい」
「Rui、ご飯は?」
「いらない」
バタンッ
久しぶりにイライラしていた
何でここまでイライラしてるのか
分からないけど
俺の中で何かが許せなかった
「Rui、おはよう」
えっ
「何これ」
「えっ、Rui昨日夜ご飯食べてないから
お腹空いてるかなと思って」
「で、朝からステーキかよ」
「そう
ほんとは昨日二人で食べようと
思ってたのよ」
「母さん胃の調子は?」
「あー、あれねすっかり良くなっちゃった
ほら早く席に着いて」
「いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
キコキコ
(フォークとナイフでお肉を切る)
朝から俺は何をしてるんだ
「どう?美味しい?」
「うまい」
そりゃあこんな豪華な肉なんだから
まずいわけがない
サラダにスープにもはやこれは朝食ではない
「あっそうだ、お母さん明日病院だから
帰り少し遅くなるかも先にご飯食べててね」
「胃の調子良くなったんじゃないのかよ」
「そうなんだけど
ステーキ食べたらまた調子がいまいちなの」
「市販の薬飲んだら?」
「飲んだけど、いまいちなのよ
やっぱり年かしらねー」
「まぁ、年....」
年は年だろと言いかけて言い留まる
落ちがもう見えている
「お母さんが年だって言うのね、ひどい」
だから見えてたから
あえて言わなかったのに
「学校行ってくる」
「えっ、残すの?」
「時間ないから行く」
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