第45話 Each of the day to day
Rito
相変わらずFumiyaの帰りが遅い
日に日に遅くなっている
昨日は22時で今日はまだ帰ってきていない
時刻はもうすぐ23時
「Fumiyaまだなの?
何か言ってない?」
「何かって」
「ガラの悪い子たちにからまれてるとか
利用されてるとか」
「聞いても何も答えないから分からない」
聞いてないことは確か
母親に不満があるということは聞いた
でもそれを言ったら
間違いなくショックを受けるから言わない
Fumiyaを溺愛していたから
もともと忙しかった父はさらに忙しくなり
今は海外に転勤中
半年の予定だ
父親の転勤直後から
Fumiyaの一連の行動がはじまったから
父親はこの状況を知らない
ガチャガチャ
時刻は23時半
ギリギリ日付けが変わる前に帰ってきた
Reila
昨日病室で父親と母親の死を
いまだに自分のせいだと責めてながら
涙を流しているおばぁちゃんを見て
何かできないかと思い
家の中を漁っている
いくら私がおばぁちゃんのせいじゃないと
言ったところで何の説得力もない
それに私ではない別の魂が経験したこと
ニュースや新聞の記事から何となくの推測は
できるけど、細かいことは分からない
病気で亡くなったなら
手紙とか残されてるかもしれないけど
突然の事故
そんなものがあるはずがない
私そういえば東京から転校してきたって
言ってたけど
東京のどこに住んでいたんだろう
Seia
一通り先生からこの学校の規則を聞いた
田中さんが教室に戻ってきた
俺もさっき教室に戻ってきた
走って戻ってきたが正しい表現になる
ついさっきまでドアの隙間から聞こえてくる
田中さんと先生の一連のやりとりを
盗み聞きしていた
終わりそうなタイミングで
田中さんに見つからないように慌てて
戻ってきた
放課後
教室にはほとんど人がいない
校庭では部活動をしている生徒達の
かけ声がはっきりと聞こえてくる
田中さんを待っていた訳ではないが
なんとなく気になって
自分の席で宿題をするふりをしている
ガタッ
(田中さんが椅子に座る)
Miku
今日も長いお昼休みを使って
パソコンルームに忍び込む
最近だいたいこの部屋を利用している人が
限られていることに気づいた
そのうちの三人はなんとなく顔も覚えた
私よりも先にこの部屋を出るから
騒がしい教室なら人の出入りを
いちいち気にすることはないけど
シーンとしたパソコンルームだと
席を立つ音、ドアを開ける音すべてが
目立つ存在となる
何か行動をしている人を見るとチラッと
確認してしまう
ピコン
あなたにメッセージが届いています
ドキン
来た
あなた様へ
(相変わらず変な出だし
丁寧なんだけど、不気味)
私は何者でもありません
名前など存在しないのです
(えっ、どういう意味?)
目的をこのメールでお伝えすることは
できません
Win-Winの関係でなければなりません
ご協力いただけますか?
目的は知っているらしい
ただ特別missionとは一言も言っていない
ご協力って何の協力?
カチャカチャ
目的とは特別missionのことなの?
協力って何の協力?
メールを送ってしばらくして
ガタ
二人の男性が立ち上がった
顔を覚えていた三人のうちの二人だった
やっぱりメールの送り主は
パソコンルームに通ってる人なの?
でもそんな人が何でmissionのことを
知ってるの?
それともmissionのことじゃないのかな
Rito
「Fumiya、あなた何時だと思ってるの」
「知らない」
「もう23時半よ」
「だから?」
すごいな以前のFumiyaなら考えられない
会話
「成績もどんどん落ちてるし
今ならまだ間に合うから
2年生になる前に塾に....」
「勉強、勉強うるさいんだよ
結局母さんが興味があるのは
俺じゃなくて勉強なんだろ
昔からそうだった
もう母さんの前で完璧でいるの
疲れたんだよ」
「Fumiya、あなたのことを思って」
「俺?
俺じゃないだろ、自分のためだろ」
今日はいつになく激しい言い合いが
繰り広げられている
Reila
何か昔の家のこととか分かるものないかな
住んでた家はまだあるのかな
もうないか
お父さんたちが亡くなって処分したか
誰かに売ったりしてるだろうな
おばぁちゃんを救ってあげたい
今も自分を責め続けているおばぁちゃんを
お父さんたちが事故で亡くなったって
ちゃんと分かるものがあれば
何でもいい
ガサガサ
あっ、これ
おばぁちゃんに書いたとされる年賀状
家族三人で撮った写真
おそらく私は3歳くらい
着物を着てるからきっと七五三の時に
撮ったのだろう
私やっぱりこの世界にちゃんと
存在していたんだ
住所、住所
ここだ
明日休みだし行ってみるしかない
Seia
チラッと椅子に座っている田中さんを見る
先生に注意されたことが
納得いかなかったらしく
不満そうだった
「何?」
うわっ、話しかけられた
「あっ、いや
大丈夫かなと思って」
「何が?」
「いや、色々と」
「正直日本は久しぶりだから慣れない
アメリカとは全然違うから」
「だろうね
まぁ色々と思うことはあるけど
こっちでうまくやっていくには
こっちのやり方に慣れた方が
あとあと楽だと思うよ」
「こっちのやり方?」
「うん」
「さっき先生にピアスがダメだの
スカートが短いとか色々言われたけど
そんなの個人の自由
アメリカは自由だった」
「うん確かに自由そう」
「それにコソコソ陰口を言うのも嫌い
言いたいことがあれば本人に言えばいい」
それは確かにそうだと思う
「はぁ
アメリカに帰りたい」
Miku
今日もパソコンルームに通う
ガラガラ
いつもの席が空いてることを確認して座る
あっ、昨日同時に席を立ち上がった二人も
今日も来てる
やっぱりメールの送り主は
どっちかなのかな
ピコン
あなたにメッセージが届いています
来た
チラッと二人の顔を見る
特にいつもと変わらない様子で
パソコンを見つめている
あなた様へ
何の目的かは今は言えません
まだあなた様から協力をすると
返事をいただいていませんから
もしあなた様が協力してくださるなら
事細かくお伝えします
どうされますか?
えっ、どうされますかと言われても
何の目的か分からない
何を協力するか分からないのに
判断できない
何て返事をしよう
だめだ、目的は知りたいけど
協力するとも言えない
間違いなく相手は司令センターではない
とすると
司令センターの敵にあたる人間だと思う
ガタ
二人のうち一人が立ち上がる
ガラガラ
帰っちゃった
返事が遅いから帰ったのか
それとも相変わらずパソコンを見つめてる
彼なのか
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