第20話 日常Rito
この世界に降りてきて早くも3か月
慣れたか慣れていないかと聞かれたら
慣れたとは思う
あのあと俺は
結局Fumiyaがいる1組を避けて
隣でもない、さらに隣の3組にした
この判断は正解
なんでかって
俺とFumiyaは顔こそ似てるけど
中身は全く違う
母親の口癖は
「Fumiyaを見習って
ほんとにお母さんのお腹から二人とも
出てきたのかしら?
どうしてこうも違うの」
正確にいうと
Fumiyaはお腹から産まれてきてるけど
俺は違う
正しくは上から降りてきた
降りてはきたんだけど
色々と疑問がわく
母親は俺らを当たり前だが
双子として認識している
ということは俺が降りてくる前は
誰か別の魂が俺となって
生活をしていたんだろうか
俺が降りてきた時すでにFumiyaは
俺そっくりな顔をしていた
ということは俺がこの家に
産まれてくると想定して
そのなんというか
Fumiyaの顔も俺の顔に成長したのだろうか
自分でも何を言ってるのか
よく分からない
とにかく聞きたいことはたくさんある
担当のHaruは上から降りてきた日以来
音沙汰なしだ
とにかく俺とFumiyaは違う
全く違う
Fumiyaは真面目だ
いや、俺だって真面目だ、俺なりに
Fumiyaが
勉強がまんべんなく出来るのに対し
俺はというと、得意な授業は
体育と体育とー
あと美術、図画工作だ
彼が几帳面なら俺は大雑把
はじめて降りてきた日に
左右対称に見えていたこの部屋
よく見てみると
Fumiyaのラックがきちんと
整理されているのに対し
俺はもはやラックは使用していない
どうせラックに入れたって出すんだ
だから机にすべて出しっぱなし
服だって
Fumiyaは棚ごとに分類されているのに対し
俺はというと
どうせいつかは着るんだということで
こちらも出しっぱなし
Fumiyaの本棚に図鑑が並んでいれば
俺の本棚には漫画が並んでいる
よくこんなに非対称なのに
左右対称だなんて思ったもんだ
俺がFumiyaに勝てること
友達の数それから
それから.....
漫画の数だ
Fumiyaの放課後は忙しい
習い事がある
水泳に、英語に、学習塾に
彼は一体将来何になるんだろうか
俺はというと
水泳に通ったが飽きてしまい
半年でやめてしまった
英語はそもそも興味がない
Fumiyaは私立の中学に行くらしく
塾に通いはじめた
俺は地元の中学に行く予定だ
改めて思う、正反対だなって
Fumiyaを見てると思う
あんなに頑張って疲れないかって
それにそんなFumiyaが苦手だ
Fumiyaが頑張れば頑張るほど
この家での俺の株は下がる
お願いだからそれ以上は頑張るなよ
まるでシーソーのように
俺とFumiyaの毎日はすれ違う
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