魚氷

耳の中で風が鳴いている


それは歓びの声だった


上がっていく気温に

照り輝く太陽に

抜けるような青空に

遠く聞こえる鶯の声に


それら全てに対する声だった



耳の中で風が哭いている


それは哀しみの声だった


溶けてゆく雪に

膨らんでゆく蕾に

減ってゆく雲に

冷たい風に


それら全てに対する声だった



耳の中で風はないている


冷たく鋭く

暖かく美しく

ないているのだ

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