恋環 (xxix)
日記は、そんな大人の目にじゅうぶん耐えうる文章でしたためられなくてはならない。間違っても
『大事件が発生した。数行ではあるが、クラスの男子とかなり親しいムードでLINEをするという前列のない出来事が、この日起きてしまった。重要な事なので繰り返すが、これはかつて例を見ない相当に異常なレベルの出来事である。その事実を踏まえて驚天動地、歴史の幕開けを予感させる奇跡のLINE 3往復半について、これより詳細に綴る』
などとセンセーショナルに書きたててはならない。
あくまでも冷静に、客観的に、事実だけをありのまま淡々と、学校へ提出するレポートのように事務的な文体で述べる必要がある。
さもなければ、
未来の
日記の内容をすっかり忘れたころの
……って、待て、待って、待ちなさい、三郎丸環!
私はさっきからひとりでいったいなにを盛りあがっているの? 事件だの一大ニュースだのと、自分のなかで騒ぎたてて。
それってつまり、そういうことなわけ? 私は、いちクラスメイトでしかなかった午角くんに、ただのクラスメイトよりはもう少しだけ意味づけをしていると――?
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