弁解 (v)

『理由を聞いて欲しい。私は皆を都合のいい手駒として使うつもりだった訳じゃない。そういう風に誤解しないで欲しい。私は全員無事にこの「ゲーム」から出られる様に私なりに考えての事だった』


『問題で間違った事を答えるとランクが下がると意識すれば皆答えを控えてしまう。些細なヒントが解答に繋がるかも知れないからそれは避けたい。だから敢えてルールの一部へ意図的に触れなかったり皆の目に触れないように誘導した』


『ランクが下がってプレイヤーに選出されやすくなる人の事はどうでもいいのって思うかも知れない。もちろんそんな風には考えてない』


『ランクが低ければプレイヤーになる確率は上がるけど必ず選ばれるわけじゃない。最下位でも5%程度で極端な数字とは言えない。だからランクの低下はそれほど致命的じゃないと考えてる』


『それにどのみち誰かがプレイヤーになる。誰も選ばれないようには出来ないし誰かが最下位になる事も避けられない。出来ない事は出来ないと諦めるしかない』


『私は誰が選ばれても無事に教室へ戻れるよう最善を尽くす。誤解を恐れずに言えば誰かのランクが下がる事をそれほど気にする必要はないと思ってる。恐れるべきは皆がランクの低下を嫌って問題に答えなくなる事』


『問題が解けなければモンスターは倒せない。プレイヤーになった人は生還出来ない。その事態は避けないといけない』


『私は敢えて汚れ役を引き受けるつもり。何と言った所で重要事項を隠して不利な事を他人にさせているのは変わらない。人によっては納得出来ないかも知れない』


『でも誰かがその役目を引き受ける必要がある。恨まれても構わない。一人も欠ける事なくクラス全員が無事に「ゲーム」の外に出られるようにする為なら私は心を鬼にする』


『だって私はクラス委員だから・・・。たまたまこの役目に私が気が付いたのも何かの巡り合わせなのかも知れない・・・』

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