ファクトリアル (vii)
ますます使えない。
しかし、それらさえかすむ、重大なデメリットがさらにあった。今、力の身に生じている不具合の元凶だ。
「『ファクトリアル』は強力な効果を持つ一方、反動がある。さっきの発動で
剣が大幅に短くなったのと、ミナスから逃げない理由はそれだったのか。
一八を助けるために、力は意図せず自身が危機的状況に陥ってしまった。申しわけない気持ちで胸が詰まる。「ギューカク……!」
「は……早くっ、
力は脂汗をにじませ懸命に応戦する。その手が握る剣はもはやあの冗談じみた長さではない。しごく妥当な尺にまでちびている。いくらも時間は残されていない。蹴り始めたばかりの魔蹴球はまだ紺色に染まるかどうかの低水準。今からドリブルをしても絶対に間にあわない。
とりあえずターゲットを俺に――だめだ、ボールの強化もシュートも、できるのは俺だけ――139cm――でも、助けないとギューカクが――助けたら勝てるのか? ――137cm――走れないあいつは囮も球の強化も無理。どっちにしろ俺らふたりともやられる――131cm――ギューカクが敵を抑えている間に少しでも遠くに離れて、強化して――127cm――
つまり見殺しにすると? 仲間を? ――113cm――
だってそうしないと俺までやられる――脳内であれだけ
「うおおおおおっ!」
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