第368話 出発
農民たちは「チョッ、ちょっと待って下さい!火付け?!・・・・
放火は捕まったら火あぶりで死刑ですが?!」と驚いて聞いた。
ボスは「大丈夫だ、みつかりはしない。
油撒いて火を付ける、5分もかからんだろう?それに例え捕まっても酔っ払った上での失火と言えばいいんだ。
人家と違うんだ、無人の桟橋焼いたくらい大した罪にはならんさ。」と言った。
農民たちは「は、はあ?そんなもんでしょうか?」とおどおどしながら言った。
ボスは「大丈夫だ。これが出来たら・・・・そうだな・・・借金の利子分は差し引いてやろう。」と言った。
農民たちは「り、利子分だけ?」とつぶやいた。
ボスは「なんだ?不服か?」と言って農民たちをにらみつけた。
農民たちは慌てて「い、いえ!とんでもないです!ありがとうございます。」と言った。
ボスは「いいか?!お前らがやらんでも他にいくらでもやるやつはおるんだぞ!
喜んでやらせてくれ、というやつもいるんだ。
それをブツくさ文句があるならいいんだぞ!
奴隷船員になるか?!炭鉱奴隷になるか?!好きなの選べ!どれも30歳まで生きてられないがな!がははは!」と言った。
農民たちは「いえ!喜んでやらせていただきます!ありがとうございます旦那様!」と叫んだ。
ボスは「分かればいいんじゃ、すぐに桟橋燃やしてこい!」と怒鳴った。
農民たちは「へいっ!わかりました!」と言って商会を飛び出した。
農民たちは商会を後にしてトボトボ帰っていった。
「なあ、どうするよ?本当にやるのか?ばれたらほんとにヤバイことになるんじゃないか?」
「今さらそんなこと言ったってどうしようも無いだろ?」
何だかんだ言いながらも農民の彼らは放火と言う大罪を犯すのをためらっていた。
やりたくは無いがやらねばこちらが奴隷にされる!
小僧になめた真似をされたという一点を唯一怒りの原動力にして彼らは放火の準備を始めた。
ギルドシーワゴンは準備をすべて整えてドーバーに向けて出発した。
イングランドへ行くに際して日持ちする穀類を中心に商品を買い船に載せた。
エーギルじいさんは新しい中型船の船長となりイングマルの船を降りた。
だがほとんどの指揮は副長のウイリアムが行いエーギルじいさんは特に具体的な指示を出したり舵を持ったりということは無く少々退屈だった。
イングマルの船には代わりにロイドが乗り込んだ。
イングマルは美しく大きな新しい船を横に見とれながら並走していた。
「う~ん、やっぱり大きな船は美しいね~。」とつぶやいた。
ロイドは「お前が乗ればよかったんじゃないのか?」と聞いた。
イングマルは「あれじゃ船団は護衛出来ないよ、それに僕の立ち位置は?
船長とか三役なんかやっても誰も言うこと聞かないだろうし、見習いからかな?」と言った。
ロイドは「確かにな。船のオーナーだけど見習って?なんだかちぐはぐだし他の船員たちも戸惑うな。」と言った。
イングマルは「でしょ?大きな船は外から眺めてるのが一番いいね。」と言った。
ドーバーまでは直線距離なら200kmほどだが海流と風が逆なのでかなり時間がかかった。
やがて白い海岸線が見えてきた。
ドーバー海峡は非常に狭く大陸との玄関口なのでイングランドと大陸間を行き来する大小多くの船が見られた。
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