第317話 裁判所へ
その後の航海は順調で追撃する船もなく無事アントウェルペン港に到着することができた。
すぐに馬車と馬を降ろし船酔いでフラフラの罪人を降ろしてイングマルの馬車に乗せて上からシートを被せた。
イングマルの馬車には役人のオスカーも一緒に乗った。
もう一台の馬車には武装した騎士が乗り込んだ。
イングマルも武装しているが上衣に革のベストを着ているので武装しているようには見えなかった。
エーギルには船に残ってもらった。
武装した騎士がたくさん馬車にのっているのは異様な光景であったが気にせずに裁判所に向けて出発した。
罪人が護送されてくることは事前の打ち合わせでわかっていたのだが正確な日程は不明で伝令が来ることになっていた。
賞金稼ぎも同じでアントウェルペンの町中にいて、彼らは伝令がくればいつでも出動できるように待機している。
だがイングマル達が伝令よりも早く到着してしまった。
何人かの賞金稼ぎが武装した騎士が乗る馬車を見て不審に思ったが何の連絡もないので「まさかな・・・。」と思いスルーしてしまった。
裁判所までは数キロ離れていたがほぼずっと町中で人通りも多かった。
賞金稼ぎの中でもベテランで優秀だった「ブルーノ団」は他とは違い、自分の経験と勘を頼みに騎士の乗った馬車を一目見て「止まれ!」と言って立ちはだかった。
騎士は「どけ!!御用である!邪魔立てまかりならん!」と叫んだ。
賞金稼ぎ達は「ビンゴだぜ!まさかと思ったがな!おい!こいつらを行かせるな!おいそっちの馬車も押さえろ!」と叫んだ。
イングマルは騎士たちを放っておいて全速力で駆け出した。
オスカーは驚いて「おい!加勢しなくていいのか?」と聞いたがイングマルは「裁判所に着ければこっちの勝ちです。騎士たちにはおとりになってもらいます!」と顔色ひとつ変えずに言った。
イングマルの2頭の馬は駿足で用心棒達が追いすがったがあっという間に引き離した。
「相手はガキだけだ!必ず仕留めろ!」とさけんで馬に乗った数名が全速で追いかけてきた。
イングマルは椅子の下に隠してあったクロスボウを取り出し装填すると右側から近づく用心棒を射倒し、さらに装填するとオスカーの頭を押さえ頭越しに左から近づく用心棒を射倒した。
最後に椅子に足をかけて後ろから荷台に飛び移ろうとしていた用心棒を射倒した。
そのまま孟スピードで裁判所に滑り込んだ。
制止しようとした衛兵とぶつかりそうになったが何とか避けた。
暴漢の襲撃と勘違いして多数の衛兵が現れて剣や槍を突きつけられたがオスカーが立ち上がり「バーデンスブルグ領尚書官オスカー・スティッグ・マイヤーです!勅命により罪人ピーター・ゲオルク・ジンペルトを護送してきました!」と叫んだ。
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