第303話 準備
罪人の護送の仕事を引き受けたイングマル。
早くもイングマルの脳内は戦闘のシュミレーションで一杯になった。
仕事の任務は一つ、罪人をアントウェルペンの裁判所まで届けるというものだが目的は一つでも考えることは何百とある。
イングマルは「罪人と護衛の騎士は何人いるの?」と聞いた。
ジェームスは「罪人一味は5人、騎士は全部で10人。あともっと必要なら傭兵を雇う。」と言った。
イングマルは「ウ~ン。騎士さんの中で弓やクロスボウが使えて船に乗れる人は何人いるの?」と聞いた。
ジェームスは「それはちょっと分からんな、本人たちに聞いてみないと。」と言った。
イングマルは「まぁ人は乗せれるけど馬はあと3頭、馬車はもう一台しか載せれないな。
ちょっと買い出しに行ってくる。弓とクロスボウのこと聞いといてください。」と言ってすぐに街中に消えていった。
イングマルはエストブルグの町を巡り歩き油樽やロープ類、食料などをたくさん買い込み馬車に載せた。
さらに以前使っていたE桟橋ちかくまでやってきて酒場に来ると人を探した。
いつも酒場の隅っこで酔っ払っている初老の男である。
何度か見かけてお互いに見知っていて、何度か話したこともあるが親しく話したことはない。
元船乗りで今はもう引退していた。
いい加減そうなダメおやじにしか見えないが船のことに関してはベテランのようであった。
イングマルは男の前に来ると「エーギルじいさん、仕事を頼みたいのだけどやってくれない?」と言った。
男は「ああ?だれじゃ?んんッ?あーお前か?お前無事じゃったんか?この前の軍の港の閉塞で大騒ぎしとったがあれもお前らが関わってたそうじゃな?!人騒がせな奴らじゃ!
んで?なんの用じゃって?」とうつろな目で聞いた。
イングマルは「操船だよ。人を運ぶのだけれど手が足りなくてね。」と言った。
エーギルじいさんは「ん~、お前何人か仲間がいたろ?そいつらはどうしたんだ?」と聞いた。
イングマルは「皆元気で頑張って商売しているよ。
僕は仲間というより手伝っただけだからね、元々一人で商いしてるんだよ。」と言った。
エーギルじいさんは「ほ~、お前ひとりでか?若いのに大したもんじゃな、いいじゃろ、どこまで何を運ぶんだって?」と聞いた。
イングマルは「アントウェルペンまで人を運ぶんだよ。15人くらいかな?
今までもちょくちょく人を運んでいたけど今回はちょっと事情があって海賊に襲われるのは確実なんだ。
操船しながら海賊に対峙するのはちょっと厳しいからね。
腕のいい人に船の操作は任せたいんだよ。」と説明した。
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