第296話  脱退 





シーワゴンの大半の船員が不満と猜疑心を持ったまま航海が続いた。



だが何回かの航海の後とうとう皆の不満が噴出し「次からはあのガキはいらない!」と言い出した。




ジョンたちは何とかなだめようとしていた。





イングマルはそんな皆のやり取りを特に何も言わず涼しい顔して聞いている。



そんな態度もみんな気にいらなかったようでクロードは「なんでガキだけ特別待遇なんだ?!なんでそんなに気を使う?!」




ジョンたちは「だから何度も言っているだろう?!あいつは・・・」と言いかけたがクロードは「あいつに助けられたってか?!お前らがビビりすぎて勝手にそう思い込んでるだけだろう?!」と言った。


ジョンはそれを聞くと真っ赤になって「何だとッ?!」と怒鳴った。




クロードは「とにかくこいつと一緒の取り分というのなら俺たちはもう船を動かさねー!」と叫んだ。






ジョンもロイドたちも「クロード!!お前あつかましいぞ!このギルドじゃ他の船員の何倍もの分け前をもらっているだろう?!こんなに待遇のいい船は他にないぞ!!そんなにわがまま言うのならお前はもうクビだッ!!」と叫んだ。





クロードもそれを聞いて顔を真っ赤にして「そうはいかねー!この船はもう俺たちの一部だ!そんな一方的な事させるか!」と叫んだ。





そういうと新しく雇われたクロード以下20人がクロードの側に回りジョンたちは5人だけとなった。



クロードは新人たちの中では中心人物となっていた。





ジョンたちは「きさまら~・・・。」とうなったがクロードは勝ち誇ったように「どうだ?お前らだけで船を動かすか?俺たち全員クビにして新しい船員を雇いに行くか?ここから無事に出られればいいな?ええ、おい。」とぶっそうなことを言い出した。




イングマルは相変わらず涼しい顔してやり取りを見ていた。





ここで彼らを叩きのめして追い出すのは簡単だがそうするとまた一から船員を探し直さなければならずせっかく軌道にのり出した商売が止まってしまう。



しかも次の航海の日程も決まっていて、すでに積み荷も船に積み込んである。




ジョンやロイドも彼らの脅しに少し怖くなって腰が引けている。





イングマルはとりあえずこの場を収めるため「僕のことが気に入らないなら僕はギルドから抜けるよ。」と言った。







ジョンたちは驚いて「お前!何言って?!・・・」と言いかけたがイングマルは「元々僕は手伝いで始めただけで・・・まあ、傭兵みたいなもんだからね。」


「用が済んだらもう終了でいいよ。ここんとこ海賊も現れないし現れても逃げるだけで何もしてこようとしない。もう大丈夫なんじゃない?」と言った。




クロードは「こいつの方が物分かりがいいな。」とニタニタと笑った。








イングマルはいったんギルド「シーワゴン」から抜けることになった。




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