第288話  鹵獲




「くそっ!こんなガキにやられるなんて・・・・?ありえない!ありえんぞ!」と海賊たちは口々にこぼした。





裸にされて縛られているにも関わらず海賊たちは何でこんなことになっているのか理解できなかった。







「なあ、お前!縄をほどけよ!言う通りすれば仲間にしてやってもいいぞ!財宝もいっぱいやるぞ!毎日好き放題できるぞ!女もより取り見取りだ!」と言って何とかイングマルを懐柔しようとしていたがイングマルは聞こえないふりをして忙しく走り回りながらこの船を調べていた。




「オイ!テメー!このガキッ!何とか言ったらどうなんだ?!ガキは大人のいう事を聞くもんだぞ!今からそんなんじゃロクな大人にならんぞ!?」


自分たちのことは棚に上げて説教始める海賊たち。







イングマルは船を調べて回り、甲板下は酒樽ばかりで乗組員の水や食料の他には特にめぼしい積み荷はなかった。



船長室を調べていたらチェストがあり、中に金銀財宝が入っていたので皆で山分けしようと思い麻袋に入れて運び出した。






「おい!聞いてんのか?!いちびった真似してんじゃねーぞッ!」と海賊たちは叫び続けたがいい加減イングマルはうっとうしくなってきたので太い丸太を持ってきて、うるさくわめいている男たちを容赦なく打ちのめした。



鼻が潰れて伸びてしまう者や肩や腕を脱臼してしまう者もいた。





悲鳴を最後に海賊たちは静かになり、子供の姿をしているが相手は自分たちを人間として扱う気が無いことを知ると今後の自分達の運命を悟った者たちはオイオイと泣き始めた。




海賊は捕まったら最後、ほとんどは即決裁判で死刑となる。













やがてイングマルの船がやってきて海賊船に接舷するとジョンとウイリアムが乗り込んできた。





2人は「信じられん!」という顔をして船を見回していた。




イングマルは二人に「この船と捕まえた海賊を連れてアントウェルペンに向かう。まかせたよ。」と言った。



ジョンは驚いて「ちょっと待て!任せるって?!俺たちだけでか?!」と驚いて聞いた。




「ロイドにも来てもらうよ。操船なら三人で何とかできるでしょ?して。」とイングマルは言った。





ジョンは困った顔して「海賊どもはどうするんだ?ケガ人もいるようだが?」ときいた。






「大丈夫だよ。死ぬようなケガじゃないから。2、3日ほっといても平気だよ。くれぐれも憐れんでロープをほどいたり、いう事を聞いたりしちゃーだめだからね。隙を見せるとすぐに反撃に出てくるからね。」とくぎを差した。



イングマルは押収した財宝の入った麻袋を担いで自分の船に戻るとロイドと交代してロイドにも海賊船に乗り込んでもらった。




鹵獲した海賊船はジョン、ロイド、ウイリアムの3人で操船しアントウェルペンに向かった。






イングマルは自分の船を操作し、最後に残っていたもう一隻のジーベックの海賊船を攻撃するために向かった。













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