第279話 準備
提督は参謀達を集めてすぐに作戦立案を命じた。
イングマルは船に戻ると馬車を下ろしてトミーも連れて町に買い出しに行った。
何ヵ月も寄港出来ない事態を予想して食料品を中心に仕入れた。
ほとんどが馬のエサだが厚片えん麦を中心にいくつも購入した。
馬車一杯にしてついでに総合港湾事務所に寄った。
掲示板にジェームス宛てにエストブルグを出ていく事を一応知らせておこうと思ったのだ。
丁度そこにジェームスが居合わせていてイングマルを見つけると開口一番「お前!何やらかしたんだ?!この騒ぎの原因はお前らと聞いたぞ?!」と叫んだ。
イングマルは困った顔して一連の騒動の顛末を話した。
イングマルは「僕としては海賊から船を取り返した後どこかの船団に入って保護してくれるか?と思っていたんだけどあてが外れたよ。まさか追い出されるとは思わんかった。」と話した。
ジェームスは「このあとどうするんだ?」と聞いた。
イングマルは「何とか包囲網を突破して取り合えずアントウェルペンへいってみる。あそこも大きな港町だから何とかなるかも。そこでもダメならもっと南下してみるよ。」と言った。
ジェームスは少し考えてから「お前、時間あるか?ちょっと待ってろ。」というとジェームスは自分の馬車に乗って急いでどこかへ出掛けて行った。
イングマルは待っている間に多くの海図を購入した。
精度は全く無いが港町の位置関係やおおよその距離が分かる。
予備の帆布やロープ等を購入しているとジェームスがやってきた。
ジェームスはイングマルに細長い木箱を渡して「アントウェルペンで以前使った港でもしもトラブルがあったらこの書類を見せるんだ、家の主人の紹介状だ。何かの役にたつかもしれん。」と言った。
ジェームスの主はエストブルグ近郊の有力貴族らしくアントウェルペンでの影響力もあるらしい。
ジェームスは「地元のエストブルグでは多くのしがらみがあって役にはたてないがアントウェルペンでなら多少融通が利くかも知れない。」と言った。
イングマルは内容や効力はともかく、会ったこともない貴族が自分のために何かしてくれたことが意外だったので少し驚いた。
イングマルは「わざわざどうもありがとう。」と言って素直に喜んで受け取った。
ジェームスは「他に何もしてやれんがまあ、頑張れよ。」と言って二人は別れた。
ジェームスと別れて船に戻り積み荷を載せているとジョンと他のメンバーもやってきた。
5人は「もう一度何とか頼んでみようぜ?この前は感情的になっていたからな。お互い落ち着いて話し合えば何とかなるんじゃないか?」と言った。
イングマルは「えー?無駄だと思うよ。何とかといっても助命されても船は没収、慰謝料支払いとかになるのが落ちだと思うよ。」
「それよりもいつでも出発出来るように準備万端整えておく方がいいと思うよ。」
「まあ、どうしてもと言うならいいけど僕は準備しておくから皆で行って来てよ。」と言った。
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