第158話 会戦2
イングマルたちは森の中で隠れて待機していたが、敵の弓兵が森に逃げてきたのを確認するとイングマルは彼らの中に突入し、剣とクロスボーで弓兵を倒して行く。
弓兵の外周を他の騎射たちがかけながらイングマルを援護してクロスボーを放って行く。
格闘戦の苦手な弓兵は内と外からの攻撃に逃げ回るばかりで、馬もないのですぐ追いつかれ倒されていた。
イングマルは弓兵の手や腕を集中的に狙って、あっという間に彼らを戦闘不能にしてしまった。
イングマルに斬られたものは全員腱を斬られてもう弓を引くことができなくなった。
腱を切れたらもう充分なのでイングマルはそれ以上攻撃はせず、逃げ散るものはほっておいた。
森の中で弓兵を片付けると全員を集め、今度は盗賊団本隊の背後からクロスボーの射撃を始めた。
斜面を攻撃していた盗賊団の歩兵は死体の山を斜面に残し、一旦下がって距離を取り盾を並べて膠着していた。
そんな時に背後からイングマル達の攻撃を受けた兵たちは、100人を背後に向き直して対峙させ盾を並べた。
王都軍の弓兵は丘の頂上へ出てきて遠距離の攻撃を行い矢を放ち続け、盗賊団は無防備な頭上からの攻撃に1人また1人と倒されてゆく。
弓兵は確実性を増すため、的を1人に絞り確実に1人ずつ射倒してゆく。
盗賊団はいまだ王都軍より数が多いにもかかわらず、なすすべがない。
だが相手よりはるかに多い兵力に期待して撤退しようとはしない。
フランシスもジャンも「前進しよう。」と言っていたがローズが止めた。
まだ敵に厚みのある今、陣形を崩すのはよくない。
しかしいつでも動けるように馬を連れてきて、馬車に馬を繋いで回った。
その対応を見て王さんの友人ガス・ウィンザースプーンは黙っていたが、感心してローズがただのお飾りではなく本物の参謀としての能力を持っていると認識した。
戦場では早くけりをつけようとついつい無理押ししたがるが、王都軍の歩兵は訓練通り無理をせず、本陣の命令に従って盾にこもってクロスボーの射撃に専念している。
盗賊団は背後のイングマルたちを先に倒すため、全軍反転してイングマルたちに向かって突撃した。
イングマルたちは馬なのでさっさと離れてしまい、50m以上の距離を保ちながら正確にクロスボーを打ち続ける。
イングマルたちを追って歩兵が大きく後方へ広がって行き、盗賊団の密度が低くなってくると、ローズたちは全軍を前進させた。
慌てずに斜面を降りてくると盗賊団は「バリケードのない斜面の下に王都軍が来た!」と再び全軍に王都軍本隊への突撃を命じた。
しかし後方に広がった兵には命令が届かず、そのままイングマルたちを追い続けた。
盗賊団の半分ほどが王都軍の本隊に向かっていくが、突入はところどころ散発的なものになり戦力は分散してしまっている。
ローズは丘の上から太鼓の合図とともに各小隊に旗の合図を送り、分散している敵を各個に包囲するように合図した。
その間も、丘の上から弓兵が後方の敵に矢を放ち続ける。
イングマルたちは1列縦隊になってかけながら矢を放ち、ほとんどクロスボーだけで相手を倒して行く。
至近距離での剣の戦いは、できるだけ避けていた。
そのため誰も負傷していない。
イングマルたちを追っていた盗賊団の歩兵はようやく合図を受け、王都軍の攻撃に向かう。
が、たちまちイングマルに背後襲われ、次々と戦力を削られてゆく。
戦場が劇的に変化することは滅多にない。
少しずつ粘り強く敵を倒して行くより他はない。
皆かごを編むように一人一人確実に倒していった。
すでに数時間経っていたが王都軍の本隊はWの陣形となり、中央のΛに馬車列があり外側に歩兵という陣形で、敵を2個に分裂させることに成功していた。
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