第1269話そらみつ 大和の国は 水の上は 地行くごとく
従四位上高麗朝臣福信に勅して難波に遣し、酒肴を入唐使藤原朝臣清河等に賜し御歌一首 短歌を併せたり
※高麗朝臣福信:渡来人で祖父の代から武蔵国高麗郡に住む。後に上京し、天平勝宝二年高麗朝臣の姓を賜る。
そらみつ 大和の国は 水の上は 地行くごとく
船の上は 床に居るごと 大神の 斎へる国ぞ
四つの船 船の舳並べ 平けく 早渡り来て
返り言 奏さむ日に 相飲まむ酒ぞ この豊御酒は
(巻19-4264)
反歌一首
四つの船 早帰り来と 白香つく 我が裳の裾に 斎ひて待たむ
(巻19-4265)
大和の国は、水の上では地上を進むがごとく、船の上では床の上にいるかのように安全な、大神が斎い守りたまわれる国なのです。
貴方たちの四つの大船は、その舳先を並べ、無事に唐の国に渡り、早く帰って来て、
その報告を行う日に、一緒に飲むための(気持ちを込めた)酒なのです。この素晴らしく美味しい酒は。
四つの船は、早く帰って来いと、白香つく、この我が裳の裾に、祈りを込めて、帰りを待つとしましょう。
難波出航を前に、遣唐使藤原清河に、孝謙天皇が酒肴を賜る時の御製。
「酒肴」は予祝のため。
裳の白香は、祭祀用の純白な幣帛の一首、(女性の裳の裾には、強い呪力があるとされた)
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