第1252話言問はぬ 木すら春咲き 秋づけば

言問はぬ 木すら春咲き 秋づけば もみち散らくは 常をなみこそ

                        (巻19-4161)

うつせみの 常なき見れば 世間に 心つけずて 思ふ日ぞ多き

                        (巻19-4162)

※世間に 心つけずて:世間のことに心を悩ますことなどなく。


言葉を離さない木であったっとしても、春になれば花が咲き、秋になれば紅葉が散る。その理由は「常」というものは、無いからなのです。


世間の無常を思えば、そんな世間に心を悩ますことなどはしたくないのだが、どうしても物思いに苦しむ日は多いのです。


大伴家持が、何故に、無常の歌を詠んだのかは、様々な説がある。

故郷平城京を離れて久しく、ホームシックにかかったというものが、事実に近い。

歌そのものは、山上憶良の「世間の住み難きことを哀しむ歌」に影響を受けている。

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