第1134話由縁ある雑歌(23)
世間の無常を厭ひし歌二首
生き死にの 二つの海を 厭はしみ 潮干の山を 偲ひつるかも
(巻16-3849)
世間の 繁き仮廬に 住み住みて 至らむ国の たづき知らずも
(巻16-3850)
右の歌二首は、河原寺の仏堂の裏の倭琴の面に在り
※河原寺:奈良県明日香村。かつての河原宮。正面に聖徳太子の誕生地でもある橘寺がある。写経において、日本最古の伝承を持つ。
生きているという苦しみ、死んでからの苦しみという二つの苦海が厭わしくて仕方がないので、苦海が干上がる場所にあると聞く山に行きたいと、心の底から偲んでいるのです。
この世の煩わしいことばかりの仮の家に、住み続けている私は、願い続けている仏国土に到る道は、全くわからないのです。
誰が書いたのかはわからない。
ただ、飛鳥時代にさかのぼる古刹なので、おそらく、そこで修行していた僧侶が、修行の悩みの末に、落書のように書いたのかもしれない。
何度か。訪れたことはあるが、かつては大伽藍だった、そんな柱跡が残っている。
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