第1096話中臣朝臣宅守、狭野弟上娘子と贈答する歌(11)

美しと 我が思ふ妹を 山川を 中にへなりて 安けくもなし

                     (巻15-3755)

向かひ居て 一日も落ちず 見しかども いとはぬ妹を 月わたるまで

                     (巻15-3756)

我が身こそ 関山越えて ここにあらめ 心は妹に 寄りにしものを

                     (巻15-3757)


美しく素晴らしいと、私が思う妻を、山とか川を中に隔てて、(逢えないので)心が安まることがない。


向かい合って暮らしていて、一日も欠かさず顔を見ていて、嫌いになどなれそうもなかった愛しい妻と。こんなに月を重ねて逢えなくなるなど(本当に辛い)


私の身体だけは、関所や山を越えて、こんな場所にいるけれど、私の心は、愛しい妻に、寄り添っているのです。


再び、中臣朝臣宅守の歌。十三首続く。

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