第1068話海辺に月を望みて作りし歌九首から(4)

妹を思ひ 眠の寝らえぬに 暁の 朝霧隠り 雁がねぞ鳴く

                   (巻15-3665)


(平城京で待っている)愛しい妻を思い続け、夜も眠れないのに、暁の朝霧の中、雁が鳴く声が聞こえ来る。


不眠症のストレスの朝、雁が鳴いている。できれば自分も雁になって平城京に帰りたいと思ったのかもしれない。


夕されば 秋風寒し 我妹子が 解き洗ひ衣 行きて早着む

                    (巻15-3666)


夕方になると、秋風が寒く身にこたえます。

愛しい妻が解いて洗い仕立てた衣を、家に早く帰って着たいと思うのです。


寒いから、妻の待つ、家に帰りたいが本音。

勅命も何も関係ない。

これが、本音。

遣新羅使になると、やはり遣唐使とは責任感も違うのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る