第1060話我妹子が いかに思へか ぬばたまの

我妹子が いかに思へか ぬばたまの 一夜もおちずに 夢にし見ゆる

                         (巻15-3647)


海原の 沖辺に灯し いざる火は 明かして灯せ 大和島見む

                         (巻15-3648)


私の愛しい妻は、どれほど深く私のことを思っているのでしょうか。

とにかく一晩も欠けずに、私の夢に出て来るのですから。


海原のかなたの沖辺に灯している漁のための灯りを、もっと明るくして欲しい、故郷の大和島を見たいのだから。



二首とも望郷の歌。


毎晩妻の夢を見るのも、実は自分が早く妻の待つ家に帰りたいから。

異郷の漁師に灯りをもっと照らせと言うのも、故郷の大和を見たいから(実は見ることなど無理とわかってはいる)

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