第1056話周防国玖珂郡の麻里布の浦を行きし時に作りし歌八首(4)

家人は 帰りはや来と 伊波比島 斎ひ待つらむ 旅行く我を

                       (巻15-3636)


草枕 旅行く我を 伊波比島 幾代降るまで 斎ひ来にけむ

                       (巻15-3637)


※伊波比島:山口県熊毛郡上関の祝島説がある。波高い周防灘の東端に位置。周囲12キロの孤島で、古来行き交う船の航行安全を守る神霊の鎮まり給う島として崇められて来た。(祝島HPより)


家の人は、早く帰って来て欲しいと、祝島のその名にあやかり、身を慎みながら、旅行く私たちを待っていることでしょう。


旅をする私たち旅人を、祝島はどれだけ長い間、祈り加護して来られたのでしょうか。


航路で航行安全の神である祝島を見て、詠んだもの。

道中安全を願い、詠まずにはいられなかったものと、思われる。

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