第1053話周防国玖珂郡の麻里布の浦を行きし時に作りし歌八首(1)
周防国玖珂郡の麻里布の浦を行きし時に作りし歌八首
※周防国玖珂郡の麻里布の浦:すはのくにのくかのこおりのまりふのうら。現山口県岩国市北部室の木町の海岸付近、錦川が海に注ぐ付近。古い地名に麻里布があった。
真楫貫き 船し行かずは 見れど飽かぬ 麻里布の浦に 宿りせましを
(巻15-3628)
いつしかも 見むと思ひし 安波島を 外にや恋ひむ 行くよしをなみ
(巻15-3629)
※安波島:現在未詳
楫をしっかり取り付けて船が進んで行くのでなかったら、見飽きないほどすばらしい麻里布の浦で宿ることができたのに
いつかは見たいと思っていた安波島を遠くに見て恋しく思うだけなのか、行く手段も見つからなくて
「麻里布の浦」「安波島」に寄ることもなく、通り過ぎてしまった時に詠んだ歌と思われる。どちらの歌も寄らないことに「残念」の意味を込めているので、その土地に対しての、「寄らない無礼を詫び、道中の安全を願う」一種の土地褒めの呪術的な祈願の意味を込めたのかもしれない。
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