第1045話あおによし 奈良の都に

あおによし 奈良の都に たなびける 天の白雲 見れど飽かぬかも

                        (巻15-3602)

右の一首は雲を詠みき


奈良の都にたなびく白い雲は、どれだけ見ていても飽きることがありません。


奈良の都の素晴らしさを称える歌として、実にわかりやすい。

遣新羅使の一人が詠んだ歌。

大阪の難波津を出て新羅へ向かう船の上で、奈良の美しい都を詠む。

船旅に危険が伴う、新羅への往復も安全が保障されているわけではない。

作者は、再び戻って来れるのか、不安を持っていた。

しかし絶対に戻って来たいから、奈良の都を褒める歌を詠む。

古来、土地褒めには、その土地の神の加護を得るとされていたので、それを期待したと思われる。

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