第1006話我が恋は まさかも愛し 草枕

我が恋は まさかも愛し 草枕 多胡の入野の 奥も愛しも

                   (巻14-3403)

※まさかも:現在の意味。

※多胡:「多胡」は上野の国の郡名。群馬県多野郡吉井町付近。

※入野:一般に山間奥深くに入り込んだ野。村落を離れていて、村の共有林。春に山菜取り、秋の実りなどを求めて、共同作業もあったらしい。基本的に裕福な人は出入りしない。

※草枕:旅に掛かる枕詞。旅を意味しているかもしれない。


私の恋心は、今も愛しくてしかたがない。

旅に出てても、あの多胡の入野の奥にいた(あの娘)が愛しくてしかたがない。


作者は、人里離れた入野で、愛を確かめ合ったのだろうか。

それが旅に出た今でも、忘れられない。

その「旅」が、実は防人としての徴用との説がある。

それが本当なら、かなり長い期間逢えなくなる。

あるいは、二度と逢えなくなるかもしれない。

そうなると、多胡の入野で愛し合う、それを忘れられないのも、当たり前に思えて来る。

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