第993話足柄の 刀比の河内に 出づる湯の

足柄の 刀比の河内に 出づる湯の よにもたよらに 児ろが言はなくに

                          (巻14-3368)

※刀比の河内:神奈川県足柄下郡湯河原町の湯河原谷。


足柄の刀比の河内に湧く、ゆらゆらとする湯のように、ゆれる気持ちをあの娘が言うはずはないのに。



お互いに気持ちを固めている、と、男は考えていた。

しかし、よほど相手の娘が可愛いのか、他の立派な男に奪われる不安があった。

その不安を高めるような、相手の娘と別の男との噂が耳に入ったようだ。

実は娘は心変わりをして、そんな言葉を発したのかもしれない。

「そんなはずはないのに」

これはフラレ男の嘆き歌と思う。









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