第981話信濃なる 須我の荒野に ほととぎす
信濃なる 須我の荒野に ほととぎす 鳴く声聞けば 時過ぎにけり
(巻14-3352)
※須我:現在所在未詳。
※時過ぎにけり:時鳥の声を「時過ぎ(トキスギ)」と聞きなしたもの。
「時」は、暦日(季節の中の時間)、推移する時間の意味。
信濃の国の須我の寂しい荒野で、ホトトギスの鳴く声を聞きました。
その鳴き声から、随分と時を過ぎたと感じてしまいました。
おそらく都から信濃に来た官僚の歌。
当時の信濃の国府は、上田市付近。(平安朝初期に松本市西方に移る)
須我は、所在未詳ではあるが、当時の国府に近い小県郡真田町(現上田市)菅平付近が有力視されている。
都を遠く離れた官僚(都落ちかもしれない)が、久しぶりに、都でも聞いたホトトギスの鳴き声を聞いたのが、須我の寂しい荒野。
ますます心は荒れ、寂しい思いで、その声を聞いたのかもしれない。
尚、ホトトギスが東歌に詠まれたのは、万葉集の中で、この一首のみ。
東国には縁が薄い鳥だったようだ。
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