第944話豊国の 企救の浜松 ねもころに
豊国の 企救の浜松 ねもころに 何しか妹に 相言ひそめけむ
(巻12-3130)
※豊国の企救の浜松:豊前国企救郡。現在の北九州市企救半島のあたりの海岸。
※ねもころに:ねんごろに。相親しく。
豊前の国の企救の浜松が、どっしりと地に根を張るように、私は何故に、あの妻とねんごろに愛し合うようになってしまったのだろうか。
旅にいて身体は離れているけれど、自分の心は家に残して来た妻に、すっかり根付いてしまって、離れようがない。
こんな苦しい思いをするなら、何故結ばれたのか、かえって結ばれなければよかった、と嘆いている。
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