第893話玉かぎる 磐垣淵の 隠りには
玉かぎる 磐垣淵の 隠りには 伏して死ぬとも 汝が名は告らじ
(巻11-2700)
※玉かぎる:磐垣淵にかかる枕詞。
大きな岩に囲まれた淵のように誰にも知られなないようにして、私は思いを隠したままで伏して命が終わったとしても、貴方様の名前は決して他人には漏らしません。
相当な身分違いの恋なのだろうか。
あるいは隠し妻か。
とにかく周囲に見つかり、破談になって欲しくない。
だから逢瀬をしたとしても、秘密を貫くしかない。
そんな必死の思いを詠む。
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