第888話待ちかねて 内には入らじ 白たへの

待ちかねて 内には入らじ 白たへの 我が衣手に 露は置きぬとも

                        (巻11-2688)


待ちきれないと思っても、家の中に入ったりはしません。

たとえ、私の衣の袖が夜露に濡れたとしても。


家の外に出て、ひたすらに男を待ち続ける女の歌。

夜露には、女の涙も含まれるか。



とにかく男に少しでも早く逢いたい。

その思いが、苦しくて仕方がないから、こんなことになる。

「何と無駄なことを」と、咎めたりする人は、恋の苦しさを知らない無粋な人と思う。




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