第885話我が背子が 使ひを待つと 笠も着ず

我が背子が 使ひを待つと 笠も着ず 出でつつそ見し 雨の降らくに

                          (巻11-2681)


あなたからのお使いを待つために、笠もかぶらず、何度も家の外に出て見ていました。雨が降っていたけれど。


女の家に男が通う場合、男の従者を介して、事前に女にその旨を告げさせる。

女はそれをもって、男を迎える準備などをするのが普通。


しかし、この歌では、女が使いを待ち焦がれる状態。

そのために、笠もかぶらず、雨が降る家の外に何度も出て、使いを待つ。


冷静な心理状態であれば、決してしない行為。

しかし、恋は盲目、こんなことをしてしまうのである。




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