第872話神奈備に ひもろき立てて 斎へども

神奈備に ひもろき立てて 斎へども 人の心は 守り敢へぬもの

                        (巻11-2657)

※神奈備:神が降臨する山や森。

※ひもろき:神事に際して神聖な場所の結界として植えた常緑樹や垣。あるいはその場所。


神奈備にひもろきを立て、懸命に慎み、お祭りをしたところで、人の心は守り切れないものなのです。


結果的に言えば、相手の心変わりが発生。

心を決め、神の前で誓ったとしても、想い人はあっさりと、自分から去っていく。


尚、「~もの」の結句は、万葉集中、ほとんど例がない。

その意味では、貴重な歌である。



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