第663話野辺見れば なでしこが花 咲きにけり

野辺見れば なでしこが花 咲きにけり 我が待つ秋は 近づくらしも

                         (巻10-1972)


野辺を見渡すと、既に、なでしこの花が一面に咲いています。

私が待ち焦がれた秋は、近づいて来ているようです。


この歌の作者は、野辺一面に咲くなでしこの花を見て、秋が近いことを知った。

何とも素直な歌で、気持ちがいい。

古代の人は、まず、自分を取り巻く自然の変化で、季節を知る。

支配者によって定められた「時(月)」は、季節を知る上での建て前に過ぎない。



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