第647話春雨の 止まず降る降る

春雨の 止まず降る降る 我が恋ふる 人の目すらを 相見せなくに

                        (巻10-1932)

我妹子に 恋ひつつ居れば 春雨の それも知るごと 止まず降りつつ

                        (巻10-1933)


春雨が全く止まないで、降って降ってばかりで、私が恋する人のお顔さえも見せてくれないのです。


私だって愛しい貴方に恋し続けているのです。しかし憎き春雨は、それを知っているくせに、止まないで降り続けるのです。


互いに逢瀬の妨げになる、降り続ける春雨を怨む歌。

ただ、上の歌(女性)のほうが、リズム感もあり詠みやすい。

下の歌は、春雨での外出を面倒に思う、男の言いわけのような気がする。

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