第586話舎人皇子に献りし歌二首

舎人皇子に献りし歌二首

ふさ手折り 多武の山霧 繁みかも 細川の瀬に 波の騒ける

                      (巻9-1704)

冬こもり 春へを恋ひて 植ゑし木の 実になる時を 片待つ我ぞ

                      (巻9-1705)

※舎人皇子:天武天皇の第六皇子。

※ふさ手折り:多武(たむ:たわむ)の枕言葉と判断。

※細川:多武峰から出て、島庄(明日香村)で飛鳥川に合流する川。

※冬ごもり:春の枕詞。


木々の枝がたわむほどに、多武峰の山霧が深い。そのためなのだろうか、細川の瀬に波が立ち騒いでいる。


春を待ちこがれて植えた木に、実がなる時を、ただひたすら私は待っています。


前の歌は、世間の噂が激しいので、恋の行方も深い霧の中。

次の歌は、婚約者の娘の成長を、ひたすら待つ歌と、理解した。






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